【史上初】GI 6連勝・イクイノックスの「総賞金20億円突破」は日本の〈緩やかな景気回復〉を裏付ける…エコノミストが解説

景気の予告信号灯としての身近なデータ(2023年11月28日)

【史上初】GI 6連勝・イクイノックスの「総賞金20億円突破」は日本の〈緩やかな景気回復〉を裏付ける…エコノミストが解説
(※画像はイメージです/PIXTA)

GIレース、イクイノックス、サッカー日本代表26W杯2次予選、大相撲九州場所・懸賞…多くの国民が注目する「身近なデータ」が、実は景気や株価と深い関係にあるということをご存じでしょうか。宅森昭吉氏(景気探検家・エコノミスト)が解説します。※本記事は宅森昭吉氏の『note』を転載・再編集したものです。

イクイノックス、GI 6連勝で「史上初の総獲得賞金20億円超」

~イクイノックス出走レースはこの1年間のGIレースの売得金・前年比・平均を大きく上回る

 

東京競馬場でおこなわれたGIレースの第43回ジャパンカップを制したのは、クリストフ・ルメール騎乗のイクイノックスでした。世界ランキング1位の、人気の4歳牡馬が勝ち、国内外のGIレース6連勝を果たしました。レースはパンサラッサが大逃げを打つハイペースの展開で、イクイノックスはGIレース3勝のタイトルホルダーに次ぐ3番手を追走。レース中間の時点でイクイノックスは4秒近く後ろでした。初対決となる3冠牝馬リバティアイランドが背後でマークする中、残り200メートル余りで先頭に出て、リバティアイランドに4馬身差をつけました。

 

ジャパンカップでは16年に父のキタサンブラックが勝っていて、6組目の父子制覇になりました。総獲得賞金は22億1,544万円で史上初の20億円超になり、父キタサンブラックの18億7,684万円、これまでの1位だったアーモンドアイの19億1,526万円を抜きました。

 

昨年12月から今年11月までの1年間のGIレースの売得金・前年比の平均は+1.8%でした。増加は12レース、減少は12レースと同数でした。そのうち、人気馬のイクイノックスが出走したのは4レースで、結果は全て1位になりました。売得金・前年比は全て増加で、平均の増加率は+14.5%です。

 

[図表1]この1年間のJRA・GIレース

JRA売得金、12年連続「前年比増加」が視野に

~11月26日までの累計前年比は+0.4%。

 

10月22日に+0.1%と、年初からのJRAの売得金累計前年比が増加に転じました。売得金は、勝馬投票券を発売した金額である発売金から、出走取り消し・競争除外分の返還金を差し引いた金額です。ジャパンカップが行われた11月26日までの売得金の累計前年比は+0.4%になりました。12年連続での前年増加に向け、これまで概ね順調に推移してきています。

 

景気が良く収入が伸び、懐具合が良い時は競馬の売上高も伸びるようです。平成・令和の34年間(平成元年・1989年~令和4年・2022年)での名目GDP前年比と売得金前年比の相関係数は0.74です。コロナの時期を除く1989~2019年では0.80に強まります。23年1~9月期3四半期分の名目GDPの前年同期比は+5.2%の増加です。23年は名目GDP前年比、売得金とも増加になると思われます。

 

[図表2]中央競馬・売得金・前年比推移

「サッカー日本代表の勝利」による日経平均上昇

~サッカー日本代表26年W杯予選2戦連続5-0と勝利、前日比下落が多い11月後半でも、翌営業日の日経平均株価は上昇

 

サッカー日本代表の試合は世の中の注目度が高く、直近のテレビ放送があった26年W杯アジア2次予選ミヤンマー戦のテレビ視聴率は12.5%と11月13日~19日のビデオリサーチ、関東地区の全ジャンル中第6位タイと高視聴率でした。ちなみに1位はNHK連続テレビ小説『ブギウギ』でした。11月17日に17.0%を記録しました。アウエーのシリア戦のテレビ放送はありませんでした。

 

11月後半に入ってから28日までの日経平均株価の前日比をみると、上昇が3営業日、下落が5営業日と下落の日の方が多かったのです。しかし、サッカー日本代表は26年W杯予選を2試合戦い、連続で5-0で勝利しました。これまでの傾向と同様、翌営業日の日経平均株価はしっかり上昇しました。

 

[図表3]2023年11月後半の日経平均株価前日比とサッカー日本代表結果

大相撲懸賞、2場所連続で「前年比増加」

~九州場所15日間の懸賞本数1,374本は、前年同場所の1,262本を+8.9%上回る。

 

大相撲九州場所15日間の懸賞の本数は1,374本でした。昨年より112本増えました。東京開催の先場所(秋場所)は過去最多の2,325本、前年比+36.6%でした。なお、九州場所は1年6場所の中で一番少なくなる年が多く、今年もそうなりました。

 

秋場所、九州場所と2場所連続して前年同場所比増加になり、背景にある広告費や企業収益の底堅さを示唆しました。

 

[図表4]最近の大相撲本場所懸賞本数推移

 

九州場所の懸賞1,374本は、事前申し込みの1,350本を上回りました。千秋楽の貴景勝VS.霧島の東西・大関対決に掛かった55本が九州場所で1つの取り組みに掛かった最多本数でした。霧島が勝って13勝2敗で大関として初めての優勝や62勝の年間最多勝を飾るとともに、14日目まで1位だった貴景勝を抜いて227本と九州場所の懸賞獲得1位となりました。

 

[図表5]大相撲九州場所懸賞獲得ベスト5

 

12年連続前年比増加が視野に入ったJRA売得金、イクイノックス出走レースで増えた売得金前年比、サッカー日本代表勝利での日経平均上昇、大相撲懸賞秋場所・九州場所2場所連続前年比増加といった最近のスポーツ関連ニュースは、緩やかな景気回復裏付けるものになっています。

 

 

※本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。

 

宅森 昭吉(景気探検家・エコノミスト)

三井銀行で東京支店勤務後エコノミスト業務。 さくら証券発足時にチーフエコノミスト。さくら投信投資顧問、三井住友アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメントでもチーフエコノミスト。 23年4月からフリー。景気探検家として活動。 現在、ESPフォーキャスト調査委員会委員等。

 

 

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