年収1,200万円の48歳エリートサラリーマン、年金月26万円・70代両親のため「サ高住」入居を援助も…自らの“老後破産危機”に絶句【CFPが解説】

年収1,200万円の48歳エリートサラリーマン、年金月26万円・70代両親のため「サ高住」入居を援助も…自らの“老後破産危機”に絶句【CFPが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢の親が金銭的に困っていることを知ったら、多くの人は「なんとか援助できないか」と考えるでしょう。ただし、場合によっては自分自身の老後破産リスクが高まることもあるため注意が必要だと、牧野FP事務所の牧野寿和CFPはいいます。老後破産リスクとは無縁そうな「年収1,200万円のエリートサラリーマン」Aさん(48歳)の事例から詳しくみていきましょう。

自分の家より先に、両親の“終の棲家”を探すことに

両親は長年、50年前に借地に建てた店舗兼住居で食堂を営んでいました。しかし年を重ね、体力的にも限界を感じた2人は、昨年廃業。

 

すると、代替わりした地主からこう言われたそうです。「廃業したんだったら、更地にして返して欲しい」。両親は仕方なく、近所に引っ越し先を探しているところだったのです。

 

両親が見学に行った“サ高住”とは?

しかし、近辺で80歳近くの夫婦を受け入れてくれる賃貸住宅はないようで、苦戦している様子。それならばと、Aさんは両親と一緒に住宅を探すことにしました。

 

「賃貸に住めないなら、マンションや戸建てでも……」と思案していたAさんでしたが、3人でドライブ中、前方に「『サ高住』入居者募集中」と書かれた看板を目にしました。

 

「サ高住ってなんだろう」とAさんがつぶやくと、母が「ああ、こないだ見学に行ってきたところね」と言い、その施設の概要について下記のように説明しました。

 

<両親が見学に行ったサ高住の特徴>

・部屋の中に段差がないなど、バリアフリー設備が整った賃貸住宅

・「安否確認」と「生活相談」のサービスが受けられる

・主な入居条件は、「60歳以上の高齢者で、自立した生活が送れること」

・(両親が見学した施設では)食事も提供される

・介護が必要になった場合は、訪問介護やデイサービスなど外部の介護保険サービスを受けることができる。また病気になったときは、施設提携先の医療機関による訪問診療や、訪問看護サービスを受けられる

・ただし入居後、長期入院が必要になったり要介護度が高くなった場合は、転居・退去しなければならない

※ ただし、別途費用負担が発生する

 

Aさんはひととおり話を聞き、「いまのところ両親ともに介護の必要はなさそうだし、病院にも通院してない。生涯暮らせるんだったら申し込んでもいいんじゃない?」と言いましたが、父は「いやあ、家賃が高くて俺たちには無理だ」と苦笑いです。

 

このサ高住に入居するには、賃貸住宅の敷金にあたる入居費用が30万円と、毎月の賃料やサービス料、食費、光熱費などが2人あわせて毎月27万円必要なのだそうです。また今後、医療費や介護費用などが別途必要になる可能性があります。

 

現在の両親の主な収入は、年金のみです。

 

出所:筆者が作成
[図表1]両親の収入と貯蓄 出所:筆者が作成

※1 両親はともに厚生年金に加入したことはない。図中の数字は令和5年度67歳以上の受給額。
※2 父が食堂創業と同時に約50年間積み立てた「小規模企業共済」の共済金800万円も含まれている。

 

Aさんはその後、有料老人ホームなどほかの高齢者向け施設も調べましたが、最終的には、両親が気に入っているサ高住に入居させたいと思いました。

 

金銭面のみがネックになっていると考えたAさんは、毎月の費用についてはAさんが10万円援助し、残りを両親が負担することにしました。

 

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※プライバシー保護の観点から、登場人物の情報を一部変更しています。
※本記事で紹介した介護サービスの手続きの詳細は、自治体ごとに異なるところがあります。

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