サウジアラビアで進む巨大プロジェクト「NEOM(ネオム)」
NEOM(「新しい未来」を意味する)は、サウジアラビアの成長戦略である「Vision2030」 の看板プロジェクトである。モハメド・ビン・サルマン皇太子の発案であり、サウジアラビアが石油依存型の経済を脱却し、石油への国の依存を減らし、持続可能な新しいモデルを世界の舞台で主導する計画である。このプロジェクトは、サウジアラビア政府も出資する公共投資基金が主に資金提供をしている。
総工費5,000億ドル(74兆7,520億円)の事業は、「活気ある住民重視の社会」と「国際的なイノベーションの拠点」の両方を創造しようとしている。NEOMには26,500 平方キロメートルにわたり、スマートタウンや都市、港、国際空港(世界最大の国際空港を含む)のほか、工業地域、研究センター、スポーツおよびエンターテインメント施設、観光地を含むいくつかの主要な経済特区がつくられる。湾岸協力会議(GCC)諸国で初のスキーリゾートもその内の一つだ。
NEOMはその壮大なプロジェクトがゆえ、経済産業省(METI)、中東日本協力センター(JCCME)、日本貿易振興機構(JETRO)を含む、日本企業や日本政府から多くの関心を集めている。
NEOMがつくられるのは、サウジアラビアのタブク州北西部、紅海の北側のアカバ湾沿岸に位置する。Riyadh(リヤド:サウジアラビアの首都)からNEOM空港までは直行便で2時間と、観光客もアクセスしやすい。また紅海は世界の貿易経路の約20%が紅海を経由しているため、物流やビジネス面でも注目だ。
なぜNEOMが、そこまで世界から注目を集めるのか。まず挙げられるのが「未来志向の計画と先進技術が、アラビア旧来の伝統やホスピタリティへの忠誠心ときちんとバランスを取って進められている」という点。
またNEOMは観光地としてだけではなく、住まいを創造することを目標としている点にも注目だ。さらに持続可能な生活の推進にも取り組み、国民にサウジアラビア全体の繁栄と成長の実感をもたらすことが期待されている。
だが、素晴らしいだけで話は終わらない。NEOMの都市エネルギー源は太陽光、風力、水力発電所からの100%再生可能なエネルギーのみであり、清潔で公害のない都市環境を保とうとしている。この都市の形はユニークな八角形になっており、海洋研究のインキュベーターや温室を設けることで、元々ある自然環境の95%を保持したまま、新しい海水淡水化技術によって世界の水の生成効率、貯水の道を開拓しようとしている。
さらに、このNEOMという都市には、他にもメガシティプロジェクトがいくつか計画されており、その中には、NEOM TROJENA、NEOM THE LINE、NEOM Nimbus、およびNEOM Oxagonなどがある。
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