月給54万円の元中小企業部長、定年退職で収入激減も節約が追い付かず…止まらぬ赤字が吸い寄せる「老後破産」の恐ろしいリスク

月給54万円の元中小企業部長、定年退職で収入激減も節約が追い付かず…止まらぬ赤字が吸い寄せる「老後破産」の恐ろしいリスク
(※画像はイメージです/PIXTA)

それなりの給料をもらっていたサラリーマンでも「定年退職後」と「年金生活スタート」の2度のタイミングで、収入は大きく減少する。残念ながら、頭では理解していても、生活がついてこないケースが多く、その場合は赤字が積み上がり、最悪は破綻の危機にさらされることになる。実情を見ていく。

定年退職時、年金受給時…サラリーマンが遭遇する収入の崖

サラリーマンは人生において2回、収入の大きな減額を経験する。それは、定年退職時と年金の受給開始時だ。

 

日本企業の現状では、多くの場合、定年退職は60歳だ。しかし、定年を迎えたからといってそこで仕事を引退することは、多くの場合、経済的な事情から許されない。そのため、多くのサラリーマンは同じ企業に再雇用されるか、もしくは転職して就労を継続することになる。

 

厚生労働省『高年齢者雇用状況等報告』によると、2021年6月~22年5月に定年を迎えたサラリーマン37万9,120人のうち、そのタイミングで「退職」を選択した人は12.7%だった。9割弱のサラリーマンは、60歳以降も就労を継続している。

 

だが、そこから先の就業で得られる給与は、役付きでバリバリ働いていた50代のものとは違う。大きく減額されることになるからだ。

 

たとえば、中小企業の部長の場合、60歳直前では月収(所定内給与額)54万5,000円、年収814万3,600円だが、60歳を機に役職がなくなると、月収は29万2,500円、年収で424万4,200円と、収入は一気に半分近くにまで減額することになる(厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』大卒・男性、従業員10~99人事業所の平均値より。以降の金額はすべて同調査による)。

 

次に収入が激減するのは、公的年金の受給が始まる65歳だ。サラリーマンのなかには、このタイミングで仕事からの引退を決断する人も少なくない。気力、体力の限界――。そんな声も聞こえるなか、ある意味仕方がないのかもしれない。

 

だが、残念というか、当然というか、ここでも収入は大きく減少する。60歳の定年を機に約半分となった給与は、65歳で年金生活で、さらに半分近く減ってしまうのだ。

 

上記の中小企業の元部長が受け取れる年金だが、ざっくり計算すると、国民年金と厚生年金を合わせて月額17万円程度。現役引退直前の月収は約29万円だったのに、そこからさらに半分近く減ってしまう。

 

【定年前】55万円 → 【定年後60歳】29万円 → 【年金生活】17万円

 

もし妻が専業主婦で、妻の国民年金が満額受給できると仮定すると、月額6万4,000円程度となり、夫婦の年金は月額およそ23万円だ。

老後生活を制するのは、50代からの「徹底的な家計管理」

総務省の『家計調査』によると、世帯主の収入が月50万~54万9,999円の世帯の月あたりの消費支出は37万1,734円。だが、もしこの感覚のまま60歳定年を迎えてしまうと、毎月の家計が赤字になってしまう。

 

だからといって、収入が大きく減ってから節約生活を考え始めるのでは、あまりに対応が遅すぎる。そうなれば、居住費、食費、交際費など、あらゆるところでダラダラと赤字が発生し、相当な預貯金を失ってしまうだろう。そのようなことが度重なれば、最悪は老後破産も免れられない。

 

重要なのは、定年を迎える前の50代の段階で、将来受給する年金額に合わせ、「家計管理」「固定費の削減」を進めておくことだ。


①家計管理

どんぶり勘定は厳禁。収入と支出を細かく記録し、節約ポイントを洗い出しておく。社会人となった子どもたちは、特別な事情がない限り独立させる。不要な家具や道具類は処分し、管理しきれないものは捨てる。場合によっては住み替えも視野に入れる。生活の無駄をためらわずにそぎ落としていく。また、将来の健康のために、アルコールを減らし、外食も減らし、薄味で野菜中心の健康的な食事に舌と体を慣らしておく。

 

②固定費の削減

無駄な道具類を手放し、住環境もシンプル&コンパクトにしたら、次はインフラにかけるお金も見直していこう。車は必要だろうか。通信費、保険、水道光熱費も見直しておきたい。電気のアンペア数を下げる、格安スマホに替える、保険を見直し、不要なものは解約するなどして、徹底的に無駄を省くようにしよう。

 

現役時代に平均以上の収入があったとしても、その時代の金銭感覚のまま老後生活を送れるほど、老後資金を積み上げられる人は多くない。

 

また、近年では「長生きリスク」が周知されてきた。「どうせ長生きしないから」などと投げやりになるのではなく、それこそ100歳まで生きることを前提に、ライフプランを描いていくことが重要なのだ。

 

 

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