「税金の払いすぎ」は損…“5年前まで”なら簡単に取り戻せる!その「方法」とは【税理士が解説】

「税金の払いすぎ」は損…“5年前まで”なら簡単に取り戻せる!その「方法」とは【税理士が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

所得税・住民税には「所得控除」「税額控除」等、税金を軽減してもらえる制度がありますが、例年、意図するしないにかかわらず「年末調整」ないしは「確定申告」での「申告忘れ」が後を絶ちません。そこで利用したいのが、「払いすぎた税金」を過去5年まで遡って取り戻せる「更正の請求」という制度です。制度の内容と利用するための手順について、税理士・黒瀧泰介氏(税理士法人グランサーズ共同代表)が解説します。

払いすぎた税金を取り戻せる「更正の請求」とは

所得税・住民税の税負担を抑えられる「所得控除」や「税額控除」の制度は、申告しなければ利用できません。申告し忘れていたり、知らずに申告せずにいたりすると、その分の税金を払いすぎていることになります。

 

また、「計算違い」「申告内容の間違い」によって税金の「払いすぎ」が発生していることがあります。

 

さらに、「還付」の額が少なかったというケースもあります。たとえば、青色申告者である個人事業主は、赤字を前年の黒字から差し引いてその分の税金の還付を受けることができますが(純損失の繰戻還付)、その額が実際より少なかったというケースです。

 

上記のような場合のために、払いすぎた税金を返してもらう手続きとして、「更正の請求」という制度があります。税金の「過少申告」をしてしまった場合には不足分について「修正申告」を行いますが、それと反対の手続きです。

「5年前」まで遡って請求できる

では、更正の請求はどのくらいの過去まで遡ってできるのでしょうか。

 

更正の請求について定めた国税通則法23条は、期限について「法定申告期限から5年以内」と定めています。つまり、裏返していえば、5年前の分まで遡って行うことができるということです。

 

5年前の分までは、「所得控除」「税額控除」等の申告し忘れがあった場合、今からでも取り戻せるということです。

 

ただし、その場合でも、通常の申告と同様、必要な資料を揃えなければなりません。1年前ならまだしも、5年前ともなると、過去の領収書やレシート等の資料が紛失していたり、廃棄してしまっていたりすることがあります。日頃からそのような資料は保管しておくようにすることが望ましいのですが、もし、なくなってしまっている場合、可能な限り、再発行等をしてもらうなどして揃える必要があります。

更正の請求の手続きは簡単にできる

更正の請求の手続きは、税務署長に対し「更正の請求書」を提出して行います。この「更正の請求書」は、国税庁HP「確定申告書等作成コーナー」にある「更正の請求書・修正申告書作成コーナー」で簡単に作成することができます。

 

画面で案内してもらえるので、その手順に従って金額等の必要事項を入力するだけです。そうすれば、税額等は自動で計算してもらえます。

 

更正の請求書のデータを作成したら、e-Tax(国税電子申告・納税システム)で電子申告することができます(プリントアウトして税務署に郵送することもできます)。

 

税務署では、「更正の請求書」の内容を確認し、その内容が正しければ「減額更正」という処分を行い、払いすぎた税金の額の還付等を行います。

 

例年、「所得控除」「税額控除」の申告忘れが後を絶ちません。それにより、本来、払わなくてよいはずの税金を払ってしまっているケースは多いのです。物価高騰が続くなか、税金の払いすぎは大変もったいないことです。年末調整や確定申告は、その有無をチェックする良い機会です。5年前まで遡って申告し忘れがないかをチェックし、もしあれば、「更正の請求」の手続きを行うことをおすすめします。

 

黒瀧 泰介

税理士法人グランサーズ 共同代表

公認会計士

税理士

 

 

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