みんなが貧しくなっている…「年収1,500万円以上」世帯の減少が示す“日本総貧困化”の危機【エコノミストが警告】

みんなが貧しくなっている…「年収1,500万円以上」世帯の減少が示す“日本総貧困化”の危機【エコノミストが警告】
(※写真はイメージです/PIXTA)

世界では経済格差が深刻化し、同じ国のなかでも貧富の差がますます拡大しています。一方、日本の場合は少し異なり「みんなが貧しくなっている」と、『日本病 なぜ給料と物価は安いままなのか』著者で第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏は警告します。「総貧困化」に向かう日本の実態を、永濱氏が解説します。

日本における「スクリューフレーション」の実態

ここまで、スクリューフレーションは「中低所得者層への締め付け」と説明してきました。事実、欧米ではスクリューフレーションによって、中低所得者層がますます貧しくなる一方、富裕層は豊かになり、格差が広がっている国もあります。

 

対して日本の場合は、「みんなが貧しくなっている」ことが家計調査を見るとわかります。

 

二人以上の世帯を年収階層別に区分けし、区分けの最下位である「年収200万円未満」と、最上位である「年収1,500万円以上」が、それぞれ全体の何%を占めるかを表したのがこのグラフです。

 

[図表2]日本の世帯年収の割合 出所:『日本病なぜ給料と物価は安いままなのか』(講談社現代新書)より抜粋
[図表2]日本の世帯年収の割合
出所:『日本病なぜ給料と物価は安いままなのか』(講談社現代新書)より抜粋

 

たしかに、「年収200万円未満」の世帯の割合は増加傾向にあります。しかし同時に、日本では「年収1500万円以上」の世帯の割合が減っているのです。

 

海外では貧しい人はより貧しく、裕福な人はより裕福になることで格差が広がっていたわけですが、日本の場合はみんなが貧しくなっている。つまり日本は「格差社会」ではなく、「総貧困化」に向かっているわけです。

 

なぜこんなことになっているかと言えば、日本が経済成長していないからです。

 

海外で所得格差が広がっているのは、新しい産業や経済成長の恩恵がうまく分配されず、富裕層に富が集まりやすくなってしまうためです。だからこそ、生活必需品の値段が上がるスクリューフレーションは「中低所得者層への締め付け」と言われます。

 

しかし日本では、大きな富を生み出す新しい産業が生まれるわけでもなく、長期停滞で賃金も上がらず、「みんなが締め付けられている」状態です。

 

 

永濱 利廣

第一生命経済研究所

首席エコノミスト

 

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※本連載は、永濱利廣氏による著書『日本病 なぜ給料と物価は安いままなのか』(講談社現代新書)より一部を抜粋・再編集したものです。

日本病 なぜ給料と物価は安いままなのか

日本病 なぜ給料と物価は安いままなのか

永濱 利廣

講談社

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