管理職の役割1:コントロール
管理職の役割、ひとつめが、コントロールです。これは、基準どおりに業務が行われるように仕組みを創り、維持することです。
管理職は仕組みを創る
一般に、管理職の仕事は、部下のやる気を引き出したり、部下に指示を出したり、と人に関わることが多いと思われています。
しかし、管理職は業務が行われる「仕組み」に焦点を当てなければなりません。なぜなら、人は頻繁に入れ替わります。そのたびに、自分が責任を持つ部門のパフォーマンスが上下してしまっては管理職失格です。管理職は、人が入れ替わっても同じように成果を出せる仕組みを創らなければならないのです。
言い方を変えれば、管理職は「部下が可能な限り簡単に成果を出せるような仕組み」を創るのです。たとえば、顧客満足度95%という基準があったら、その基準を保つための仕組みを創るのが管理職の役割です。この場合、基準はさらに上の管理職(経営者など)が設定します。
■仕組みを創るために、管理職には人間理解が必要
管理職は仕組みに焦点を当てる、といっても、人を疎かにしていいわけではありません。効果的な仕組みを作るためには、深い人間理解が必要だからです。先ほどの「顧客満足度95%」を達成するための仕組みを創るには、
・どう行動すれば顧客が満足するのか?
・どのような仕組みを創れば、社員が喜んで仕組みどおりに仕事をしてくれるのか?
これらを考えなくてはいけないからです。
管理職は仕組みを維持する
さらに、管理職は作った仕組みを維持することが重要な責務になります。つまり、作った仕組みどおりにみんなが仕事が行われているのかを確認することです。仕事の成果が基準値を下回っているのに、部下から嫌われるのを恐れて指摘できなかったり、まぁ、これくらいならいいだろう、という感じで妥協しては管理職の機能が破綻します。
■管理職自ら規律を守る
仕組みを維持するには、チーム全体の規律が必要になります。大切なことは、管理職が規律を持たなければ、部下も規律を持たないということです。そこで管理職には自己規律が大切な能力になります。
たとえば、先ほどの基準、「顧客満足度95%」を達成するために「注文から1週間以内に納品する仕組み」を作ったとしましょう。この仕組みを維持するために、毎日9時にチーム内でミーティングをし、前日の注文状況と未納品の注文を確認しているとします。ここで管理職が、今日は午後から出張で忙しいから、朝のミーティングはなしにしよう、という感じで規律を破ってしまったら、そこから部門全体のほころびが始まります。
これはブロークンウィンドウ(割れ窓)理論といわれる有名な考え方です。建物の窓が壊れているのを放置すると、それが「誰も当該地域に対し関心を払っていない」というサインとなり、犯罪を起こしやすい環境を作り出し、ゴミのポイ捨てなどの軽犯罪が起きるようになる、という理論です。
仕組みを維持するためには割れ窓理論をよく理解しておくことが大切です。作った仕組みが1回でも守られなければ、そのうち、1回が2回になり、2回が3回になり、いずれ仕組みが形骸化します。仕組みが形骸化すれば、基準が保たれなくなり、会社全体のパフォーマンスに悪影響を与えるのです。
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