(※画像はイメージです/PIXTA)

2023年もあと1ヵ月半となり、そろそろサラリーマンの方は職場で「年末調整」の用紙が配られているのではないでしょうか。年末調整や確定申告は「払いすぎた税金」を取り戻す手続なので、「申告漏れ」がないようにしたいものです。そこで、本記事では、年末調整や確定申告でついうっかり、あるいはそもそも知らずに「申告漏れ」をしてしまうケースが多い「所得控除」を5つ取り上げて説明します。

◆地震保険料控除

地震保険料控除は、その年度中に地震保険の保険料を支払ったら、保険料の全額または一部について所得控除を受けられるものです。これも、サラリーマンは年末調整で「保険料控除申告書」によって申告できます。

 

なぜ、この地震保険料控除を忘れがちかというと、理由があります。地震保険は独立した「地震保険」という商品があるわけではなく、火災保険に「地震危険補償特約」を付けるという形でしか加入できないからです。したがって、火災保険と一緒に地震保険にも入っているという自覚がなく、申告漏れになってしまうケースがあるのです。

 

なお、地震保険(火災保険の「地震危険補償特約」)は入っておくに越したことはありません。なぜなら、地震に起因する建物や家財の損害(火災による焼損等)は、火災保険本体ではカバーしてもらえないからです。

 

◆通常の医療費控除(確定申告)

医療費控除は、2017年から「通常の医療費控除」と「セルフメディケーション税制」の2種類に分かれています。

 

通常の医療費控除は、その年度の医療費が10万円を超えた場合にその超過額について所得控除を受けられるものです。年末調整ではなく、確定申告をする必要があります。対象となるのは、以下の費用です。

 

・医師等による診療・治療のために支払った費用

・治療や療養に必要な医薬品の購入費用

 

要注意なのが、一般的に思い浮かべる「医療費」のイメージと異なり、治療のために必要なものが広く含まれるということです。国税庁のホームページで細かく定めており、「え? こんなものまで?」というようなものも含まれていますので、迷ったら確認することをおすすめします。

 

特に申告漏れしやすいものを一つ挙げると、医療機関へ行く際にかかった公共交通機関の「交通費」です。「医師等による診療・治療のため支払った費用」といえるので、医療費控除の対象となります。通院のついでに買い物等に行った場合も、「治療のため支払った」であることは変わりないので、除外されません。なお、タクシー代については、最寄りの公共交通機関へ行くこと自体が困難であるなどの特段の事情がない限り対象外です。

 

◆セルフメディケーション税制

セルフメディケーション税制は2017年から始まった医療費控除の一種です。厚生労働省が指定した所定の医薬品の年間の購入金額が1万2,000円を超えた場合に、その超過額について所得控除が認められるものです。通常の医療費控除と同様、確定申告をする必要があります。

 

セルフメディケーション税制の対象となるかどうかは、その医薬品のパッケージに記載されている共通のロゴ、あるいは、レシートの印で判別できます。湿布や栄養ドリンク等、「えっ? こんなものも?」というものが対象となっていることがあります。

 

なお、セルフメディケーション税制を利用する場合には、通常の医療費控除は利用できません。両方の要件をみたすならば、どちらか有利なほうを選ぶことになります。

 

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