市場予想を小幅に上回ったインドの消費者物価(CPI)
インド統計・計画実施省が11月13日に公表した消費者物価指数によると、23年10月の消費者物価(以下、CPI)は前年同月比4.9%(前月:同5.0%)となり、9月の同5.0%から低下した([図表1])。事前の市場予想1(同4.8%)を小幅に上回る結果であった。
食品価格が高止まりしたものの、燃料・電力の下落がCPIを押し下げた。
地域別の上昇率をみると、都市部は前年同月比4.6%(前月:同4.7%)、農村部は同5.1%(前月:同5.3%)となり、それぞれ小幅に低下した。
10月のCPIの内訳をみると、まず食品は前年同月比6.6%となり、上昇幅は前月から横ばいだった。食品のうち、豆類(同18.8%)や穀物製品(同10.7%)、牛乳・乳製品(同6.4%)の価格が高止まりした一方、食用油(同▲13.7%)の価格下落が続いたほか、野菜(同2.7%)が小幅の上昇にとどまった([図表2])。
特に野菜の価格はトマトが前月比▲18.6%と落ち着きを取り戻してきた一方で、タマネギが前月比15.5%と値上がりが続いている。政府はタマネギ価格を抑制するため、10月29日から年内にかけてタマネギに最低輸出価格を設定しており、輸出量を抑制することにより価格の安定化を図ろうとしている。
燃料・電力は前年同月比▲0.4%となり、9月の同▲0.1%に続いてマイナスの伸びとなった。
コアCPI(食品、燃料を除く総合)は同4.3%となり、9月の同4.5%から低下した。住宅(同3.8%)や輸送・通信(同2.0%)、保健(同5.1%)など幅広い品目が8月の水準を下回った。
インフレ率はベース効果による低下が落ち着いてきたため、今後の更なる鈍化は見込みにくくなってきている。値上がりの続くタマネギ価格をはじめとして、今後も食品価格の動向に左右される展開となりそうだ。
エルニーニョ現象がラビ作(乾季)の生産に影響を及ぼすリスクもある。インフレ率は短期的には底打ちして再び5%を上回る水準で推移するものと予想される。
インフレ率はRBIの許容範囲である2~6%に収まっているが、中央値の4%を上回っている([図表3])。RBIは引き続きインフレ動向に注意を払いながら、金融政策を据え置くだろう。インフレ鈍化が続き、来年利下げを実施する可能性は低いと考えられる。
1 Bloomberg集計の中央値。
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