今年からはじまった「固定資産税が3分の1になる」制度…必ず申請すべき!とはいえないワケ【税理士が解説】

今年からはじまった「固定資産税が3分の1になる」制度…必ず申請すべき!とはいえないワケ【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

令和5年度の税制改正で導入された、中小企業の「固定資産税減税制度」。“最大5年間、固定資産税が3分の1になる”と聞くと、節税対策に効果的であるように思えます。しかし「実はそうともいえない」と、税理士法人グランサーズの共同代表で税理士・公認会計士の黒瀧泰介氏はいいます。いったいなぜでしょうか。詳しくみていきます。

「固定資産税が3分の1になる制度」とは?

黒「この制度は、中小企業の投資や賃上げを後押しするために、設備投資にともなう負担を軽減するための固定資産税の特例措置です。適用されると、固定資産税の課税標準額が最大3分の1に軽減されます」

 

――なるほど。税額の計算のもとになる「課税標準額」が3分の1になるから、税額も3分の1になるってことですね。

 

黒「対象となる企業や要件は、下記のように定められています。

 

特例措置の対象企業:市町村から先端設備等導入計画の認定を受け、かつ、資本金1億円以下等の税制上の要件を満たす中小企業

 

計画認定要件:3~5年の計画期間における労働生産性が年平均3%以上向上する等、基本方針や市町村の導入促進基本計画に沿ったものであること

(出典:令和5年度 経済産業関係 税制改正について)

 

まず、先端設備等導入計画を作って市町村から認定される必要があります」

 

――それはどんなものですか。

 

黒「『先端設備等導入計画』とは、中小企業が設備投資を通じて労働生産性の向上を実現するための計画のことです。認定されることで、金融支援や支援措置を受けることができます。

 

また、計画が認定されるには、労働生産性が年平均3%以上向上する等、市区町村の導入促進基本計画に沿ったものであることが必要です。

 

対象となる設備は、

 

1.機械・装置 (160万円以上)

2.測定工具及び検査工具 (30万円以上)

3.器具・備品 (30万円以上)

4.建物附属設備 (60万円以上)

 

この4点となっています」

 

――事業にもよりますが、結構高額なものに限定されていますね。

 

黒「そうですね。また、認定の対象である中小企業の定義は、[図表4]のようになっています。

 

出典:中小企業庁「【中小企業等経営強化法】先端設備等導入計画について」p1
[図表4]計画認定の対象者「中小企業者」 出典:中小企業庁「【中小企業等経営強化法】先端設備等導入計画について」p1

 

たとえばサービス業であれば、資本金5,000万円以下、または常時使用する従業員数100人以下であれば対象になります。これに認定されると、固定資産の課税標準額が3年間、2分の1に軽減されます」

 

――なるほど。国も企業にどんどん設備投資してもらいたいんですかね……って、2分の1ですか!? さっき、3分の1になるって話でしたが。

 

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※本記事は、YouTube『社長の資産防衛チャンネル【税理士&経営者】』より動画を一部抜粋・再編集したものです。

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