(※画像はイメージです/PIXTA)

2023年も2ヵ月を切りました。生命保険等に加入している人は、自宅に保険会社から「控除証明書」が届いていることと思います。そして、この時期、保険の営業マンがよく使うセールストークに「生命保険料控除の枠を使って節税しましょう」というものがあります。しかし、実は、生命保険料控除は、税負担を抑える制度には違いありませんが、「節税」の制度といえるかどうかは微妙な面があります。本記事で解説します。

生命保険料控除は「節税」ではない

保険の営業マンが用いる定番のセールストークのパターンの一つに、生命保険料控除の枠を活用しての「節税」をすすめるものがあります。

 

特に多いのが、「終身保険」「養老保険」「個人年金保険」です。「控除を受けて節税でき、貯蓄もできる保険」ということになります。

 

しかし、節税というのはミスリーディングです。生命保険料控除は、必要な保険に入ったら保険料の負担を軽減してもらえるという効果をもつだけであり、「節税」とイコールではありません。また、「控除を受けられ、積立もできる」という手段であれば、生命保険以外に、掛金の一部ではなく「全額」について所得控除を受けることができるものがあります。以下の通りです。

 

【掛金の「全額」が所得控除になるもの】

・iDeCo(個人型確定拠出年金)

・小規模企業共済

・国民年金基金

 

したがって、敢えて保険を選んで積み立てをするのであれば、他の方法にない、保険に特有のメリットを重視してということになります。

 

保険、特に生命保険で積立を行うメリットは、以下の2つです。

 

・亡くなったときに遺族が「死亡保険金」を受け取れる

・働けなくなったときに保険料の払い込みが免除される

 

いずれも、保険ならではの特性です。これらにメリットを感じないにもかかわらず、生命保険料控除の枠を利用するために、敢えて積立型の保険を選んで加入する必要性は乏しいといわざるを得ません。

生命保険料控除の「本来の活用メリット」は?

生命保険料控除の活用については、そもそもの制度趣旨から考える必要があります。生命保険料控除はそもそも「節税」のための制度ではありません。生命保険の保険料の負担を軽減するための制度です。

 

すなわち、病気・ケガで亡くなった場合や働けなくなった場合、長生きして生活費が足りなくなりそうな場合、国の社会保障制度が用意されています。しかし、それらは最低限のものでしかないので、実際には十分でないことがあります。そこで、足りない部分を補うために重要な役割を果たすのが、民間の保険です。

 

そのような民間の生命保険等について、国は、生命保険料控除を設け、生命保険に加入する人の経済的な負担を和らげることにしているのです。

 

必要な保険に加入したら、結果として、保険料について所得控除という形でサポートしてもらえるというにすぎません。もしも、所得控除を受けるためということをことさらに重視して保険に入ったら、保険料の払い損になってしまう可能性があります。

 

保険を検討する際は、「生命保険料控除」の制度はあまり考えず、社会保障制度も考慮に入れて、それだけで足りない分を補う保険を、過不足なく選ぶことをおすすめします。特に貯蓄性の保険については、前述した保険ならではの特性にメリットを感じるか等を考えたうえで、iDeCo等の制度とも比較し、自分にどれが合っているのか、慎重に判断する必要があるといえます。

 

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