日本とフランスで異なる「税金の使い道」
令和2年度、日本の社会保障費が「42,997,872,406千円(約42.9兆円)」であると発表された。
このうち、年金給付費の歳出予算額が「12,523,170,516千円(約12.5兆円)」、介護給付費の歳出予算額が「3,371,152,793千円(約3.3兆円)」。
社会保障費のうち、「年金」「介護」に3分の1以上の費用が割かれているという事実。もちろん、高齢者の増加が背景にあることは今更語るまでもない。老後資金が底を尽きた高齢者たちが、更なる支援を求めている現実もある。
一方、少子化対策費の歳出予算額は「3,058,778,672千円(約3兆円)」。お金がないから子どもを産まないという話は多い。潤沢な資金さえあればもう1人欲しいんだけど……という声も聞かれるが、児童手当等、子持ち家庭への支援の薄さは度々話題となっている。
お金がないから子どもを産まない。結果、労働人口が増えず、相対的に高齢者の比率が上がっていく。人口減少・少子高齢化は併せて問題視され、その危機感はうんざりするほど語られている。国に蔓延する閉塞感は日ごとに増しているが、このような事態は何も日本に限った話ではない。
同じような状況下の例として、本記事ではフランスを紹介する。同国は高齢化社会への移行が最も早い国のうちの1つとして知られているが、その一方で、フランスの出生率は1.82と、日本の1.33を上回る現実がある(令和4年版 内閣府「少子化社会対策白書」)。この背景には、政府主導の手厚い家族政策が存在する。