今回は、不動産投資における「利回り」をどのように計算するべきなのか考えてみます。※本連載は、社団法人住宅・不動産総合研究所理事長の吉崎誠二氏の著書、『データで読み解く賃貸住宅経営の極意』(芙蓉書房出版)の中から一部を抜粋し、「土地活用」に関する基本事項を解説します。

経費を多く含めて計算し、収益力をシビアに判断

不動産投資での「実質利回り」を求める上で、まず総投資額を算出する必要がある。総投資額は賃貸住宅そのものの建設費の他にも外構工事などの付帯工事費用はもちろん、状況次第では建設地にもとあった建物の解体費、インフラなどの整備費用、また各種税金などまで見ておかなければならない。

 

また、実質利回りの利回りは、経費(支出)をどこまで含めるかによって変わってくる。管理費や修繕積立費、ローン金利、保険、税金など、できる限りかかる費用を見込んでおくことで、よりシビアな収益力を判断することができる。

 

賃貸住宅経営における収入は、家賃(+敷金、礼金など)が主なものだ。一棟アパートなら駐車場代も加わるかもしれない。収入においても、適切に見込まなければならない。

実質利回りは「5%~10%」程度見込めるとよい

計画している賃貸住宅のプランが立地環境や入居者ニーズに合っていなかったり、家賃設定がエリアの相場以上に高すぎたりしては、空室が発生する確率が上がり、予定通りの収入は見込めない。こうした見込み違いは、想定していた利回りを下回る可能性につながる。

 

さらに、経営計画の中の収入計画を立てる際には、先に述べたように常に満室ということはないため「空室率」を読みこむことや、経年に伴う「賃料の下落」の見込みを盛り込まなければならない。

 

どれくらいの実質利回りを見込むべきかについては、高ければ高いほどよいのは言うまでもないが、立地やオーナーとしてのニーズ、その時々の投資環境などにより異なるが、参考値的には5%~10%程度見込めるとよいだろう。

本連載は、2016年2月15日刊行の書籍『データで読み解く賃貸住宅経営の極意』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

データで読み解く 賃貸住宅経営の極意

データで読み解く 賃貸住宅経営の極意

吉崎 誠二

芙蓉書房出版

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