恐ろしい…勝手に境界線を越えてくる隣人、放っておくと自分の土地が「奪われる」ワケ【中央大学法学部教授が解説】

恐ろしい…勝手に境界線を越えてくる隣人、放っておくと自分の土地が「奪われる」ワケ【中央大学法学部教授が解説】

「勝手にお隣さんが自分の土地に入ってくる」「隣の家の木が境界を越えている」などの隣人トラブルを抱えている人はいませんか? 実は、そうした事態を長年放置していると、自分の土地を隣人に奪われてしまう可能性もあると、中央大学法学部教授である遠藤研一郎氏はいいます。いったいなぜでしょうか。本記事では、同氏の著書『はじめまして、法学 第2版 身近なのに知らなすぎる「これって法的にどうなの?」』(株式会社ウェッジ)より、「所有権」の法的知識について解説します。

知らないと怖い…「所有権の取得時効」とは?

同じ発想で、所有権の取得時効という制度を説明することができます。所有権の取得時効とは、他人の物であっても、所有の意思をもって、一定期間、継続的にそれを占有すると、占有している者が所有権を取得するという制度です(民法162条※3)。

 

たとえば、Aさん所有の土地をBさんが所有の意思をもってずっと占有しつづけていると、やがて、Bさんはその占有地の所有権を主張できるようになります。しかも、Bさんが、それが自分の土地ではない(Aさんの所有地である)と知っている(これを法律用語で「悪意」といいます)場合であっても、占有を継続すれば取得時効は成立するのです。

 

自分の物ではないことを分かっていながら、占有を継続していれば所有権が手に入る。なぜ、そのような制度が認められるのでしょうか? 先ほどの説明と同様です。

 

Bさんは、継続的にその土地を有効活用していますし、場合によっては、Cさんに貸すなどして、新たな法律関係がすでに生まれているかもしれません。ですから、その状態を尊重することが、社会的に有益ですし、また、いたずらな紛争を防げることにもつながります。他方、Aさんは、自分の土地がBさんに占有されているのに、何も文句を言わなかった以上、所有権が奪われても仕方ないとも考えられます。

 

ちなみに、取得時効は、お隣さんとの境界トラブルなどにも頻繁に登場します。お隣さんが境界線をはみ出して土地を占有していたけれど、そのまま放置して時間が経過すると、いつの間にか、そのお隣さんに占有部分の所有権が生じ、自分の所有権は消えてしまう——なんてこともあるのです。

 

取得時効を成立させないためには、「これは私の物だ!」と、占有をしている人にしっかりと主張することが大切です。

 

※3 【民法162条】①20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。②10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

 

 

遠藤 研一郎

中央大学法学部

教授

 

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