不動産のプロでも騙される「地面師」とは?
読者のみなさんは、「地面師」をご存じでしょうか? 少し前に、大手住宅メーカーが、いわゆる「地面師」による詐欺によって、50億円を超える被害に遭うという事件がありました。また、それほど大きな額でなくても、とくに不動産価値が高騰するときには、地面師による詐欺事件が目立つようになります。
地面師とは、簡単に言えば、他人の土地や建物を自分の物であるように装って、第三者に売却するなどして売買代金を騙し取る詐欺師のことです。不動産を買って大金を支払ったら、じつは、売主はニセモノで、お金は持ち逃げされる……。不動産のプロでも騙されるようです。
詐欺の手口はさまざまですから、一般化することはできないのですが、たとえば、こんなイメージです。
Xさんは、東京都杉並区に100坪ほどの土地と建物を所有していました。しかし、Xさんは高齢であり、また配偶者に先立たれたため、そこに住んでおらず、山口県にある長男夫婦の家に身を寄せていました。そのため、杉並区のその不動産は、長い間、人が住みつかず、しっかりと管理されていない状態になっていました。
そのような折、詐欺グループの1人であるY1が、Xさんの物件に目をつけ、Xさんの情報をあらゆる手段でかき集めました。そして、手配師Y2首謀のもとで、Xさんに年齢や体格が似ているY3をニセの地主役として仕立てました。その後、Y3は、Xさんを演じます。買主との顔合わせでも本人になりすましました。
結局、この不動産は、仲介業者である会社Y4を経由したうえで、買主Zさんに転売されました。以前からこの不動産を欲しいと思っていたZさんは、売買代金1億5,000万円を、直ちに、Y4の提携している弁護士Y5が開設している預金口座に振り込みました。
Zさんは、登記がXさんから移転してY4名義になっており、Y4と売買の打ち合わせをした際に、Y5も同席していたことから、自分が詐欺事件に巻き込まれているなど、まったく疑いませんでした。
しかし、後日、Xさんの被害届を受けて詐欺が発覚しました。Zさんが振り込んだ1億5,000万円はすでに払い戻されていて、どこに行ってしまったのか分かりません。
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