恐ろしい…仲介業者・弁護士までグル、1億5,000万円を持ち逃げ!不動産のプロも騙される「地面師」による巧妙な詐欺手口【中央大学法学部教授が解説】

恐ろしい…仲介業者・弁護士までグル、1億5,000万円を持ち逃げ!不動産のプロも騙される「地面師」による巧妙な詐欺手口【中央大学法学部教授が解説】

不動産価値の上昇が続くなか、「地面師」と呼ばれる詐欺グループが横行しています。ときには司法書士や弁護士なども仲間として加担していることもあり、不動産のプロでさえ見抜くことが難しいといわれている恐ろしい詐欺です。本記事では、中央大学法学部教授である遠藤研一郎氏の著書『はじめまして、法学 第2版 身近なのに知らなすぎる「これって法的にどうなの?」』(株式会社ウェッジ)より、地面師による不動産詐欺の手口について解説します。

不動産のプロでも騙される「地面師」とは?

読者のみなさんは、「地面師」をご存じでしょうか? 少し前に、大手住宅メーカーが、いわゆる「地面師」による詐欺によって、50億円を超える被害に遭うという事件がありました。また、それほど大きな額でなくても、とくに不動産価値が高騰するときには、地面師による詐欺事件が目立つようになります。

 

地面師とは、簡単に言えば、他人の土地や建物を自分の物であるように装って、第三者に売却するなどして売買代金を騙し取る詐欺師のことです。不動産を買って大金を支払ったら、じつは、売主はニセモノで、お金は持ち逃げされる……。不動産のプロでも騙されるようです。

 

詐欺の手口はさまざまですから、一般化することはできないのですが、たとえば、こんなイメージです。

 

【事例】

Xさんは、東京都杉並区に100坪ほどの土地と建物を所有していました。しかし、Xさんは高齢であり、また配偶者に先立たれたため、そこに住んでおらず、山口県にある長男夫婦の家に身を寄せていました。そのため、杉並区のその不動産は、長い間、人が住みつかず、しっかりと管理されていない状態になっていました。

 

そのような折、詐欺グループの1人であるY1が、Xさんの物件に目をつけ、Xさんの情報をあらゆる手段でかき集めました。そして、手配師Y2首謀のもとで、Xさんに年齢や体格が似ているY3をニセの地主役として仕立てました。その後、Y3は、Xさんを演じます。買主との顔合わせでも本人になりすましました。

 

結局、この不動産は、仲介業者である会社Y4を経由したうえで、買主Zさんに転売されました。以前からこの不動産を欲しいと思っていたZさんは、売買代金1億5,000万円を、直ちに、Y4の提携している弁護士Y5が開設している預金口座に振り込みました。

 

Zさんは、登記がXさんから移転してY4名義になっており、Y4と売買の打ち合わせをした際に、Y5も同席していたことから、自分が詐欺事件に巻き込まれているなど、まったく疑いませんでした。

 

しかし、後日、Xさんの被害届を受けて詐欺が発覚しました。Zさんが振り込んだ1億5,000万円はすでに払い戻されていて、どこに行ってしまったのか分かりません。

 

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遠藤 研一郎

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