「虫がよすぎる…」不倫相手と長年同棲する夫から別れを切り出された!「不貞行為をした配偶者」からの離婚請求は認められるのか【中央大学法学部教授が解説】

「虫がよすぎる…」不倫相手と長年同棲する夫から別れを切り出された!「不貞行為をした配偶者」からの離婚請求は認められるのか【中央大学法学部教授が解説】

さまざまな理由で離婚に至るカップルは増加しています。しかし、一度婚姻関係となった以上、財産や子供の親権などの問題をめぐってトラブルになるケースは少なくありません。本記事では、中央大学法学部学長である遠藤研一郎氏の著書『はじめまして、法学 第2版 身近なのに知らなすぎる「これって法的にどうなの?」』(株式会社ウェッジ)より、有責配偶者からの離婚請求や離婚後の親権問題について解説します。

大人の都合で親と離ればなれになった子供はどうなる?

離婚に伴い、子どもはどのようになるのでしょうか? 子は、父母が婚姻をしている間は、その共同の親権に服します(民法818条3項)※2。つまり、父親と母親の両者のもとで育てます。

 

では、両親が離婚をしたら? 日本では、その場合、どちらか一方が親権を持つことになります。親権者になったほうが、子どもを引き取り、監護・教育し、財産管理を行います。非親権者は基本的に口出しできません。ですから、時には、親権をめぐって、激しく父親と母親が争う場合もあります。

 

映画「クレイマー、クレイマー※3」は、ダスティン・ホフマンとメリル・ストリープが共演した名作です。タイトル名は、もともと夫婦だったクレイマーさん(夫)とクレイマーさん(妻)が争っているので、“Kramer vs. Kramer”です。

 

仕事第一主義だった夫のテッドが、息子ビリーとフレンチ・トーストを作るシーンや、自転車の練習をするシーンは、あまりにも有名です。そして、子の親権をめぐる裁判の結末は——。

 

離婚をした後は、通常、元の夫婦は別々のところで暮らしますので、子は、一方の親と暮らし、もう一方の親とは暮らせないことになります。

 

しかし、夫婦の絆はなくなっても、親子の絆はなくなりません。親子が互いに会うことができないことは、子の福祉の観点から望ましくないとも考えられます。そこで、親子が別居している場合に、その親子が面会することが認められています。これが、面会交流権※4です。

 

なお、諸外国では離婚後の共同親権を認める国も多く、日本でも、近時、共同親権制度の導入についての検討が活発となっています。

 

※2 【民法818条】③親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。(後略)


※3 1979年公開のアメリカ映画(日本公開は1980年)。ロバート・ベントン監督。結婚8年目にして妻の自立心から結婚生活が破綻した夫婦と幼い息子。離婚・親権争い、女性の自立など社会問題を描いた作品。第52回アカデミー賞作品賞受賞。『クレイマー、クレイマー』デジタル配信中/Blu-ray&DVD発売中 発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

 

※4 子どもと離れて暮らしている親と子どもが、直接会ったり、それ以外の方
法(手紙や写真のやり取り、電話やメール、プレゼントの受け渡しなど)で親子の交流をしたりする権利。家庭裁判所の元調査官らによって設立された「FPIC(エフピック)・家庭問題情報センター」といった第三者機関が面会交流の橋渡しをしている。

 

 

遠藤 研一郎

中央大学法学部

教授

 

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