(※写真はイメージです/PIXTA)

岸田首相は10月26日、児童手当の所得制限撤廃等の「拡充」措置について、2025年2月から実施する予定だったものを、2024年12月から前倒し実施する意向を示しました。昨年来、この児童手当の所得制限の撤廃の議論がスポットを浴びてきていますが、「子育てのお金」をサポートする公的制度は他にもあり、それらもあわせてフルに活用することが大切です。そこで、本記事では特に重要な8つの制度を紹介します。

「子育てのお金」をサポートする公的制度

現時点で、児童手当も含め、子育てを経済面でサポートする措置は、「給付」と「税制優遇措置」でそれぞれ以下の通りです。

 

【給付の制度】

・出産育児一時金

・出産手当金

・出産・子育て応援給付金

・育児休業給付金

・児童手当

・高等学校等就学支援制度(高校の授業料の実質無償化)

 

【税制上の優遇措置の制度(所得控除)】

・扶養控除

・ひとり親控除

 

なかには、手続きをしなければ受けられないものもあるので、十分に理解したうえで、必要な手続きを忘れずに行うことが大切です。

給付の制度

給付による制度は、現状、出産時と子育て初期をサポートする制度がメインとなっています。

 

◆出産育児一時金

「出産育児一時金」は、国民が全員加入している「健康保険」(会社員・公務員は被用者保険、自営業者は国民健康保険)から一時金を受け取れる制度です。女性が出産したら、原則として子ども1人あたり50万円を受け取れます。

 

2023年3月以前は42万円でしたが、出産費用が年々上昇してきていること等を考慮して、同年4月から50万円に増額されました。

 

◆出産・子育て応援給付金

「出産・子育て応援給付金」は、「妊娠届出時」と「出生届出時」にそれぞれ5万円相当のクーポン等を受給できるものです(合計10万円相当)。

 

2023年1月1日から施行されたばかりの新しい給付金の制度です。受給資格の制限はありません。

 

◆出産手当金

「出産手当金」は、会社員・公務員が産前・産後の休業を取得したときに、「被用者保険」から給与の額の67%(約3分の2)を受け取れる制度です。

 

自営業・フリーランスの人には現状このような制度がありません。ただし、現在、政府において、自営業・フリーランスのために、子どもが1~2歳になるまでの間、月2万~3万円の給付を行う制度を導入することが検討されています。

 

◆育児休業給付金

「育児休業給付金」は、会社員・公務員が「雇用保険」から、「育児休業」を取得した場合に給与の3分の2を受け取れる制度です。

 

自営業・フリーランスの人には現状このような制度がありませんが、前述したように、政府は、子どもが1~2歳になるまでの間に月2万~3万円の給付を行う制度を検討しています。

 

◆児童手当

「児童手当」は、中学校3年生以下の子どもを養育している人が、子ども1人あたり1ヵ月10,000円~15,000円を受け取れる制度です。

 

現状、児童手当には所得制限の制度がありますが、政府はこの制限を撤廃する方針を示しています。そして、岸田首相は10月26日の自民党の会合において、2024年12月以降に前倒し実施する方針を示しました。

 

撤廃が予定されている所得制限は、「所得制限限度額」と「所得制限上限額」の2段構えになっています。これらは「世帯主の所得」と「親族の数」に応じて決まります。

 

まず、第一段階の「所得制限限度額」を超えると、給付額は一律月5,000円に減額されます(特例給付)。そして、第二段階の「所得制限上限額」を超えると受給できなくなります。

 

しかし、この所得制限の制度については、以前から、子育て支援という考え方となじまない、「世帯」ではなく「世帯主」の所得を基準とするのは不合理、などの批判がありました。それを受け、所得制限が撤廃されることになったのです。また、その他にも、高校生に対しても月1万円を給付する等の拡充が行われることになっています。

 

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