養育費を受け取っているのは「4人に1人」
シングルマザーは「児童手当」のほかに「児童扶養手当」を受け取ることができますが、子どもが1人の場合の月額は1万160円~4万3,070円であり、決して十分な額ではありません。
市町村が独自の手当を設けていることもありますが、それにも限度があります。そこで重要な役割を果たすのが、離別した子どもの父親から受け取る「養育費」です。
では、養育費の受給状況はどうなっているでしょうか。
厚生労働省「令和3(2021)年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」を見ると、20歳未満の子を養育している母子世帯の母の受給状況は「現在も受けている」が28.1%となっており、約4人に1人にとどまっています。一方で、「過去に受けたことがある」との回答は14.2%となっており、当初の養育費の取り決めが守られていないケースが相当数あることがみてとれます([図表1]参照)。
未婚のシングルマザーの大半が養育費を受け取れていない
養育費を受け取れない以前に、そもそも、養育費の取り決めすらなされていないケースもあります。シングルマザー全体(離婚・未婚)では、「取り決めをしている」が46.7%なのに対し、「取り決めをしていない」が54.3%と上回っています([図表2]参照)。
また、婚歴の有無によっても差があります。「離婚」のシングルマザーは46.7%が「取り決めをしている」のに対し、「未婚」のシングルマザーは13.6%にとどまっているのです。しかも、「未婚」のシングルマザーのうち「現在も受けている」は51.2%なので、単純計算すると、未婚のシングルマザー全体のうち約7.0%しか養育費を受け取れていないことになります([図表3]参照)。
「未婚」のシングルマザー世帯の場合、現状、90%を超えるケースで父親が責任を果たしていないということになります。父親は、結婚していなくても子を養育する法的義務を負っているので(民法877条)、養育費は当然に決めなければなりません。しかし、それが徹底されていないという実態がうかがわれます。
つまり、シングルマザー世帯の養育費については、以下の2つの問題が指摘されるということです。
1.養育費の取り決めをしているケースが少ない
2.養育費の取り決めがあっても履行義務が守られていないケースが多い