タンス預金が税務署にバレる理由
税務署は専用のシステムによって、過去10年間分の収入や通帳等の財産を把握することができます。このシステムを「国税総合管理システム(KSK)」といいます。
国税庁や税務署では、これにより納税者情報を管理しており、そこには給与や確定申告のデータが登録されているため、そこに記録されている所得状況と預金の状況を照らし合わせて調査をします。
これらと照らし合わせて、なくなっている預金の使い道を調査してくことになります。これまでの蓄積された過去データがあるので、相続税の申告をすべき人がしていなかったりすると税務調査の対象やお尋ねの対象になることがありますし、膨大なデータをもとに照らし合わせるため、高確率で発覚します。
税務署は本人の承諾がなくても預金口座を調査できます。この調査は本人だけでなく、家族の口座も調査対象になることもあります。金融機関は過去10年分の入出金データを保存していることが多いため、税務署は過去まで遡って確認することが可能です。これにより不自然な預金の動きがあれば、一目でわかってしまうのです。
発覚したあとで支払う税金にはペナルティも課されてしまうのと、ペナルティを課された記録も残ってしまうので、このような隠ぺいは絶対に避けるべきものになります。
また相続税の税務調査はほかの税目よりも調査が入る確率が高くなっており、調査により財産漏れが発覚して修正申告をする確率も多くなっています。
へそくりをタンス預金にしたときの注意点
ところでへそくりからタンス預金をするというケースもよくあると思いますが、このへそくりは税制面において、どのような考え方になるでしょうか。
たとえば、専業主婦がへそくりをした場合はどうでしょうか。専業主婦が毎月、夫のお給料からやりくりしてお金を貯めていった場合、そのへそくりは誰の財産になるでしょうか。この場合、稼いでいるのは夫であるため、コツコツ貯めたへそくりは夫の財産という認識になります。
このケースで夫が亡くなってしまった場合、そのへそくりも夫の財産として相続の対象となります。妻がこのへそくりを夫死亡により相続するということになるのです。
前述のとおり、配偶者の場合には、相続税では軽減措置があるので最低でも1憶6,000万円までは相続税がかかりません。そして、もちろん生活費などは贈与税の対象ではないので、夫からもらうお給料すべてがこの対象にはなりません。
自分の代はよくても、子への相続の際に悪影響が…
配偶者が相続する場合は影響がないケースが多くありますが、その後の二次相続に大きく影響します。
二次相続では親から子への相続になることがほとんどであり、このときは配偶者の軽減措置のようなものはありません。二次相続で税金が大きく発生することがあり、また、親がタンス預金をしていることを知らないと、あとになって発覚してビックリしてしまうということもあり得ます。
もし、このへそくりについて夫からの相続という形にしたくないということであれば、毎年、贈与として取り扱うことになるかと思います。年間110万円までは贈与税は非課税になるのでその範囲で収まるのであれば、贈与したことがわかるように贈与契約書を作成したうえで、贈与をしていくということになります。
ただ、へそくりというと、こっそり貯金するというイメージがあるので、「これはそもそもへそくりというのか?」ということになってしまいますね。
そういっても、せっかく、日々の努力で貯めたお金が思ってもいないタイミングで税金を支払うことになってしまうのは納得がいかないものです。正しい知識と納税意識をもって、日々を過ごしていくことがなによりです。やはり夫婦円満、仲良く日ごろからコミュニケーションをとっていくことが重要なのかと思います。
木戸 真智子
税理士事務所エールパートナー
税理士/行政書士/ファイナンシャルプランナー
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