(※写真はイメージです/PIXTA)

コツコツ貯めてきたへそくり、配偶者には内緒のお金のため、タンス預金として自宅のどこかに隠されているというケースは少なくなりません。しかしタンス預金と化したへそくりは相続の際に注意が必要と、税理士事務所エールパートナーの木戸真智子税理士はいいます。本記事では、事例とともに、タンス預金の相続について解説します。

母のへそくり4,000万円を発見!ネコババした2人の息子の末路

タンス預金……これ自体はなにも悪くないことですが、このタンス預金がうっかり納税漏れになってしまうと大変です。まずは事例から紹介します。

 

10年前、父親が亡くなりました。そして、2年前には母親が亡くなりました。

 

母親は父親の相続のときに配偶者控除の特例により父親の財産のほとんどを相続していたため、自宅と預金、株式を含めて約9,000万円の財産がありました。配偶者が相続したときは、1億6,000万円までは相続税が課されないため、父親が亡くなったときは税金がかからず相続しました。しかし今回は、息子2人が相続することとなり、相続税の納税と申告を済ませました。

 

それからしばらくして、遺品整理をしていたところ、母親のクローゼットから、現金が見つかりました。もともと父親が使用していた金庫があったので相続の申告の際には、その中身を確認していたのですが、まさかクローゼットの奥から見つかるとは思わず、息子たちはビックリしてしまいました。

 

現金が入っていた箱を見ると随分前のものなので恐らく20年近くは経過しているようです。中身を見てみると、ざっと約4,000万円ほどありました。

 

それからというもの、息子たちはなにかあるとそこから使ってしまうことが習慣となってしまったのです。

 

「タンス預金」とは?

このような現金をタンス預金といいます。タンス預金とは、銀行などにお金を預けるのではなく自宅にまとまった現金を保管しておくことをいいます。タンス預金自体は違法なことではありません。税金の申告のときに財産が隠すことが違法なことであって、相続や贈与などの際に適正に申告手続きをしていればなんの問題もありません。

 

タンス預金のメリットとしては、ATMなどで引き出す必要がなく、使いやすいことと、災害などいざというときにすぐに使えるという点があります。しかし、これはデメリットでもあり、災害や盗難被害などで失われてしまう可能性もあります。

 

母親がへそくりとして、ずっとタンス預金を続けてきたこれらの預金は、その後、税務調査が入り、指摘されました。

 

息子2人が追徴課税として支払うことになった額は、約750万円です。追徴課税とは実際に納めなくてはいけない税額に場合によってはペナルティとして付帯税が課されます。そのため、本来正しく申告していたときよりも多く税金を支払うことになってしまいます。きちんと申告していれば、このようなことにはならなかったのに……。兄弟は多額の追徴課税に悲鳴をあげます。

 

しかし、遺族でも見つけられないへそくりやタンス預金を、一体どのように税務署は把握するのでしょうか。

 

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