多くの「サラリーマン」が知らずに損している?「本代」や「スーツ代」を“経費”として落とす方法

多くの「サラリーマン」が知らずに損している?「本代」や「スーツ代」を“経費”として落とす方法
(※画像はイメージです/PIXTA)

サラリーマンの給与は「給与所得」と扱われ、事業主と異なり「経費で落とす」という概念がありません。しかし、実は、あまり知られていませんが、確定申告することにより、事実上、同じ効果を得られる制度があります。しかも、サラリーマン等の「給与所得者」だけが利用できる制度です。本記事ではその制度「特定支出控除」について解説します。

サラリーマンのための「特定支出控除」制度とは

特定支出控除は、給与所得者(サラリーマン)にとって「必要経費」にあたる制度です。すなわち、仕事に関連して支出した費用が「給与所得控除」の額の2分の1を超える場合に、その超過額を給与所得の金額から控除できるものです。

 

給与所得控除の額は給与収入の額(源泉徴収票に記載される支払金額)に応じて異なります([図表]参照)。

 

[図表]給与所得控除額

 

特定支出の合計額が、上記の計算式によって算出される給与所得控除額の2分の1を超えた場合に、特定支出控除を利用できます。

 

たとえば、年収600万円であれば、給与所得控除額は164万円(600万円×20%+44万円)なので、その2分の1にあたる82万円を超える支出をした場合に、利用できます。このことからわかるように、仕事に関連して大きな額の出費があった年度に使える制度ということになります。

 

対象となる費目は以下の7種類です。

 

【特定支出控除の対象となる費目】

1.通勤費

2.出張等の場合の「職務上の旅費」

3.転勤に伴う「転居費」

4.研修費

5.運転免許、簿記、弁護士、公認会計士、税理士などの「資格取得費」

6.単身赴任等の場合の「帰宅旅費」

7.図書費、衣服費、交際費等の「勤務必要経費」

 

ただし、これらのうち、意味があるのは、事実上、「5.運転免許、簿記、弁護士、公認会計士、税理士などの『資格取得費』」と「7.図書費、衣服費、交際費等の『勤務必要経費』」くらいです。その他の費目については、たいてい、全部または一部を勤務先が負担してくれるからです。

 

なお、「7.図書費、衣服費、交際費等の『勤務必要経費』」については年間の上限額が65万円以内と決まっていますが、その他については上限が設けられていません。

 

以下、「資格取得費」と「勤務必要経費」に絞ってポイントを紹介します。

資格取得費(運転免許、簿記、弁護士、公認会計士、税理士等)

自動車運転免許、簿記、弁護士、公認会計士、税理士等の資格を取得するために支出した費用は、「職務の遂行に直接必要」といえれば特定支出控除の対象となります。

 

受験料はもちろんのこと、資格スクールの授業料等も対象となります。なぜなら、難しい資格だと独学がきわめて困難なので、事実上、資格スクール等に頼らざるを得ないからです。

 

「職務の遂行に直接必要」かどうかが問題となる2つの局面を紹介します。

 

◆不合格でも対象となる

たとえ試験を受けた結果「不合格」だったとしても、受験料等は特定支出控除の対象となります。なぜなら、勉強し、受験したこと自体は「職務の遂行に直接必要」であったことに変わりないからです。

 

◆「法科大学院」の学費はOKだが、「会計大学院」の学費はNG

弁護士になるために通う「法科大学院(ロースクール)」の学費は特定支出控除の対象となりますが、公認会計士になるために通う「会計大学院(アカウンティングスクール)」の学費は対象となりません。

 

「法科大学院」の学費については、弁護士になるための司法試験の受験資格は原則として法科大学院修了者にしか認められません(予備試験のルートもありますが例外です)。したがって、その学費は「職務の遂行に直接必要」ということになります。

 

これに対し、「会計大学院」の学費は特定支出控除の対象になりません。なぜなら、公認会計士試験の受験資格として、会計大学院の修了者であることは求められていないからです。

 

会計大学院を修了すると、試験科目の一部が免除されるにとどまります。したがって、会計大学院の学費は「職務の遂行に直接必要」の要件をみたしません。

 

このように、資格取得費については「職務の遂行に直接必要」かどうかで判断されます。

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