サステナビリティに関わる意識と消費行動(2)-意識は成長段階・行動は途上段階、教育機会や情報感度、経済的余裕が影響

サステナビリティに関わる意識と消費行動(2)-意識は成長段階・行動は途上段階、教育機会や情報感度、経済的余裕が影響
(写真はイメージです/PIXTA)

原料や製造過程において、環境や人権などのサステナビリティに配慮した企業や製品が増えています。日本の消費者はサステナビリティへの取り組みに対して、どの程度意識して消費行動を行っているのでしょうか。本稿では、ニッセイ基礎研究所の久我尚子氏が、消費者のサステナビリティに関わる意識や行動について解説します。

サステナビリティに関する性別ごとの状況

消費生活の関心が高い女性で意識は高く、研修機会等の多い男性で行動はやや先行

性別に見ると、意識面については、そう思う割合が男性で最も高いのは「社会の一員として何か社会のために役立ちたい」(37.7%)、次いで僅差で「手間がかかっても、企業はサステナビリティを配慮すべきだ」(36.9%)、「お金がかかっても、企業はサステナビリティを配慮すべきだ」(35.8%)と続く(図表4(a))。

 

一方、女性で最も高いのは「サステナビリティに関わる問題は他人事ではない」(52.0%)であり、次いで「サステナビリティにいますぐに取り組まないと手遅れになる」(50.3%)、「手間がかかっても、企業はサステナビリティを配慮すべきだ」(47.3%)と続く。

 

男女を比べると、そう思う割合は、いずれも女性が男性を上回るが、特に「サステナビリティに関わる問題は他人事ではない」(男性35.7%、女性52.0%、女性が男性より+16.3%pt)や「サステナビリティにいますぐに取り組まないと手遅れになる」(同35.2%、同50.3%、同+15.1%pt)、「手間がかかっても、消費者はサステナビリティを配慮すべきだ」(同34.1%、同45.4%、同+11.3%pt)で目立つ。

 

また、行動面については、男女とも上位は全体と同様であり、男女を比べると、意識面とは異なり、男性が女性をやや上回る項目が多く、「学校や組織等でサステナビリティについて学ぶ機会がある」(男性18.5%、女性12.5%、男性が女性より+6.0%pt)や「サステナビリティを意識してボランティア活動等をしている」(同13.0%、同8.2%、同+4.8%pt)で比較的目立つ。

 

なお、戸惑いや躊躇に関わる問いについては、いずれも女性が男性を上回り、特に「サステナビリティに興味はあるが何をしたらよいか分からない」(男性29.2%、女性41.6%、女性が男性より+12.4%pt)や「サステナビリティに関わる問題がよくわからない」(同25.2%、同33.3%、同+8.1%pt)、「サステナビリティに興味はあるがきっかけがない」(同26.7%、同34.2%、同+7.5%pt)では女性が男性を1割前後、上回る。

 

つまり、女性は日ごろから消費生活全般への関心が高いこと(※2)などから、サステナビリティに関わる意識も男性と比べて高い傾向があるが、男性と比べて就業率が低く(当調査では男性79.6%、女性55.2%)、サステナビリティに関わる研修等の教育機会が比較的少ないことなどから、具体的な取り組みへの戸惑いが大きく、意識を上手く行動へ移すことができておらず、行動面では男性の方がやや先行している様子がうかがえる。

 

注:省略して表記 資料:ニッセイ基礎研究所「生活に関する調査」
[図表4]性年代別に見たサステナビリティに関わる意識や行動(そう思う割合) 注:省略して表記
資料:ニッセイ基礎研究所「生活に関する調査」

 

※2:前稿でも「日常生活におけるサステナビリティに(も)関わる消費行動」にてエコバッグの持参やゴミの分別、詰め替え製品の購入といった取り組み状況について全体的に女性の方が男性よりも積極的な傾向が見られた。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年10月18日に公開したレポートを転載したものです。

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