金利が「為替」に与える影響―日米金利差の拡大が「円安ドル高」を招いている
続いて、金利が「為替」に与える影響について説明します。グローバルにマネーが駆け巡るなかで、金利の動向は外国為替相場に影響を与えます。
基本的に金利が上昇するとその国の外国為替相場(当該国通貨の他の通貨に対する相対的価値、日本の場合は円相場)も上がり、反対に金利が低下するとその国の為替相場は下がります。馴染みのある「円」と「ドル」の関係で説明を続けます。
日本の金利水準が低いまま変わらず、米国の金利が上昇したとします。2国間で金利差が開くと、金利が低い日本から金利が高い米国へ資金が移動します。これは金利の高い国は期待収益率(期待リターン)が高いからです。
金利の高い国に投資する行動は、多くの投資家も後を追うことから、金利の低い国の通貨円は売られて円安(通貨価値の低下)となります。一方、金利が高い米国の通貨ドルは買われてドル高(通貨価値の上昇)となります。
個人の行動に着目して確認します。預金者は日本の低い預金金利にしびれを切らして、一段と高くなった米ドル建ての外貨預金にお金を移します。国債のケースでも同様です。
日本国債で運用していた日本・米国の投資家は、日本国債を売却してより利回りが高くなった米国国債を購入します。これらの行動により円は売られ、ドルは買われるので、円安ドル高となります。
まとめると、低金利の日本に対して海外金利が上昇して内外金利差が拡大する場合は、円安・外国通貨高に向かいやすく、反対に内外金利差が縮小する場合は、円高・外国通貨安に向かいやすくなります。
【金利の変動が為替に与える影響】
・海外金利の上昇(内外金利差の拡大)⇒円安・外国通貨高
・海外金利の低下(内外金利差の縮小)⇒円高・外国通貨安
現在の記録的な「円安ドル高」はこのようなしくみによって起きているものです。
なお、一般に金利差をみる時、「2年国債利回り」がよく用いられますが、「10年国債利回り」用いることもあります。ある時は2年の金利差が為替レートとの連動性が高く、別の時は10年の金利差のほうが連動性の高いことがあります。
その時々で外国為替相場との連動性が高い指標や注目される指標が変化しています。
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