株価は非常に多くの要素が影響して決まるものです。そのため、株価を予測し値上がりする企業を見定めることは至難の業でしょう。では、バフェット氏のように毎年成果を出し続けている人はどのように株式投資を行っているのでしょうか。本記事では、多摩大学大学院MBA客員教授・前田英志氏の著書『お金から自由になる人生の設計書』(ごきげんビジネス出版)より、未来を予測するためのデータの応用と値上がりする企業の見定め方について解説します。

予測できない株式投資で成功する方法

凛「株価が予測できないのは理解しました。でも、予測できないものに取り組むのは怖いです」

 

(中略)

 

英虎「短期的に株価がどうなるっているかの予測は難しい。ただ、中長期的に見たときに、おそらくこうなるだろうと読めるというのがわかってきたことなんだ」

 

凛「へー、そうなんですか」

 

英虎「具体的には、株価は企業の収益との連動性が高いことがわかっていて、たとえば日経平均全体で見ると、ROEとかEPSとかの利益を代表する指標と株価の推移のかたちに類似性があることが、種々の資料で示されている。ROEやEPSについては、あとで調べといて」

 

凛「Returnon EquityとEarningsper Shareでしょ。それくらい知ってますよ。コモンセンスです」

 

英虎「トマス・ペインか。若いのに、言うこと古いね。で、この事実は重要で、であるなら、中長期的に利益を稼げる企業に投資すればよい、ということになるよね」

 

凛「そうなりますね。最初からそう言ってくださいよ」

 

英虎「物事には順序ってものがあるだろ。1つひとつ積み上げていくことが重要」

 

凛「そしたらひでさん、中長期的に利益を稼げる企業って、どうやって見つけたらいいんですか?」

 

英虎「それが問題なんだよ」

 

凛「あらっ。そこが問題なんですね」

 

英虎「だって、わかんないじゃん。企業がどうなるかなんて。よく、時価総額ランキングがこの10年で大きく変わりました!って、得意げに話している人がいるんだけど、まーそういうことなんだと思うね。稼げる企業は時代によって、どんどん変わっていくんだよ」

 

凛「この辺、大事そうですね」

 

英虎「今業界が絶好調でも、Amazonが入ってきただけで、5年後は赤い世界というのは、予測というよりは今や確実に起こる未来となってるよね」

 

凛「ビジネスの厳しさは私もわかります。コロナでマッサージ店、たくさん倒産しました。まさか、人と会っちゃいけないってことが起こるとは思わなかった。でも、逆にわかったことがあるんです」

 

英虎「うん、うん」

 

凛「やっぱり、マッサージは直接体に触れるのが大事だということ。リモートでできることも考えたけど、それは私がやりたいことではなかった」

 

英虎「いいね。これはメタバースの時代になっても、直接の人と人の触れ合いが必要な産業として残るね。中長期的に稼げんじゃない」

 

また話がズレてきた……果たして元に戻るのか。

 

中長期的に稼げる企業の探し方

凛「ありがとうございます。それは私が考えます。でも、中長期的に稼げる企業って、どうやって探したらいいですかね?」

 

英虎「それはアナロジーで考えるのがいいと思う。稼げる企業というのは、激しい競争に勝って生き残れる企業、これを生物にたとえるとなんだろう?」

 

凛「生物ですか、パッと浮かぶのは、ライオンですかね?」

 

英虎「たしかにライオンは百獣の王だよね。でもライオンは、いつも餌をとり続けないといけないから大変そう。あと、ジャングルとか外部環境の影響も、かなり受けそうだよね」

 

凛「よく考えずに言いました……そうですね、ずっと生き残れそうな生物でいうと、ひとつ思いついたのがあるけど、言いたくないです」

 

英虎「どんなことがあっても、こいつなら生き抜いていけるだろうっていう生物いるよね。ここはダーウィンの知恵を借りよう」

 

凛「あれですか?『強い者、賢い者が生き残るのではない。変化できる者が生き残るのだ』」

 

英虎「それ。実際はダーウィンの言葉ではなく、米国の経営学者レオン・メギンソンがダーウィンの考えを独自に解釈して論文中に記した言葉、というのが正しいんだけどね。ただ、それはどうでもよくて、大事なのはこの言葉自体」

 

凛「変化できる企業ですね」

 

英虎「そう。変化できる企業であれば、何があっても大丈夫」

 

凛「私この前、この本読んだんですよ」

 

英虎「『巨像も踊る※2』?しぶいね。あれだね、99.999%の人が倒産すると思っていたIBMが蘇った話だね。なんでこんな本読んだの?」

 

※2 『巨像も踊る』(日本経済新聞出版) 
バブルが崩壊した日本と軌を一にするように急落したIBMは、93年4月のガースナー氏のCEO就任後、瞬く間に変貌を遂げ、90年代半ばには再建に成功。その再建の内容をまとめた本。 

 

凛「サロンのお客さまに薦められたんです。いろいろ薦められたんですけど、その中の1冊です」

 

英虎「えっ、お客さま?」

 

凛「ひでさん、どうかしました。声が不機嫌ですけど。そう、お客さまです」

 

英虎「そうか、わかった。ところで、IBMの人とは私も仕事の関係で深い付き合いがある」

 

凛「そうなんですね」

 

英虎「とくに、赤字になってつぶれそうなときを生き抜いてきた人と話をすると、とてもおもしろい。自分たちは何があっても絶対大丈夫って、みんな声をそろえて言うんだよね」

 

凛「いいですね」

 

英虎「実質的に1回死んだ経験をした人は強い、ということかと理解している」

 

凛「たしかに人もそうですね。そしたら、IBMの株を買うのがいいんでしょうか?」

 

英虎「IBMはひとつの例で、そこは自分でちゃんと見極めたほうがいい。過去つらいことがあって、それをどううまく乗り越えたか。それが今、企業文化として伝わっているか。その辺をちゃんと見ていくといいと思う。企業文化として伝わっているかどうかは、社長や上位マネジメントの発言を聞くとわかると思う」

 

凛「わかりました。自分でいろいろ見てみます!」

 

経済的自立に向けて、株式投資で資産収入を増やすためのヒントが見えてきたかと思う。変化対応力の強い企業を、実際に自分で探してみよう。

 

 

前田 英志

フィンファイ株式会社創業者 兼 代表取締役社長

多摩大学大学院MBA客員教授

 

※本記事は『お金から自由になる人生の設計書 年収にかかわらず経済的自立を実現する方法』(ごきげんビジネス出版)一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

 

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