(※画像はイメージです/PIXTA)

国民生活センターは10月11日から「屋根工事の点検商法」への注意を呼びかける報告書を公表している。屋根の無料点検をもちかけ、屋根が壊れているなどといって不安を煽り、高額な屋根の工事の契約を結ばせる手法であり、近年、高齢者を中心に、トラブルに遭うケースが急増している。「火災保険を使えば自己負担なしで修理できる」などといって勧誘するケースもある。本記事では、典型的な手口とトラブル回避の方法を紹介する。

相談件数が5年で「3倍」に急増…多くは高齢者

国民生活センターによれば、全国の消費生活センター等に寄せられる「屋根工事の点検商法」に関する相談件数は、2018年は923件だったのが、2022年には2,885件と、5年間で3倍超に急増している。

 

2022年に業者との契約に応じてしまった件数は2,642件で、そのうち60代以上が2,128件と80%を超えており、高齢者がトラブルに遭うケースが多い。

 

【60代以上で業者との契約に応じた件数(2022年)】

・60代:552件(21%)

・70代:847件(32%)

・80代:629件(24%)

・90代以上:100件(4%)

 

2023年に入ってからも、2022年を上回るペースで相談が寄せられているという。

「屋根工事の点検商法」業者の手口

ここで、「屋根工事の点検商法」の業者が用いる典型的な手口を紹介する。

 

◆「屋根の無料点検」をもちかける

業者は、こちらが断りにくい言葉で勧誘してくる。たとえば、以下のようなものである。

 

「近所で工事をしているので挨拶にきたのですが、お宅の屋根がずれているかもしれません。無料で点検させてもらえませんか。」

 

「この一帯をドローンで撮影していたら、お宅の屋根が壊れているのが見えました。」

 

このように言葉巧みにきっかけを作り、「屋根の点検」をする。そして、「お宅の屋根が壊れています」などといって修理を持ちかけるのである。また、屋根以外にも、雨樋や外壁も損傷しているとして、あわせて修理をすすめるケースもある。

 

屋根は家屋のあらゆる箇所のうち最も見えにくいうえ、工事の専門家から「損傷している」と指摘されたとなると信用してしまいやすい。しかも、屋根が損傷した状態では雨漏りのおそれがあるほか、風で瓦等が飛ばされて他の建物を損傷するおそれがある。したがって、業者から「このままだと大変なことになる」などといわれると、修理しなければならないという強迫観念に駆られることがある。

 

しかも、その際、業者は「すぐ契約するなら工事費を安くする」「火災保険を使えば自己負担なしで修理できる」などと強調することも多い。

 

しかし、屋根の修理には多額の費用がかかるにもかかわらず、考える時間的余裕も与えず、その場ですぐに契約を結ばせようとするということ自体に問題がある。

 

また、火災保険については、そもそもこのようなケースでは保険金がおりない可能性がある。詳しくは改めて後述する。

 

◆あとでキャンセルしたら「違約金」を請求されるケースも

あとで改めて考え直して、工事の契約をキャンセルしようとしたら、業者が「違約金」「手数料」等の名目で、高額なペナルティを支払わせようとしてくることがある。

 

屋根の修理工事には多額の費用がかかるので、考え直した結果、キャンセルすることが考えられる。また、他の業者に話を聞き、工事代金が割高であることを知ってキャンセルすることもある。

 

それらに加えて、よくあるのが、「火災保険を使えば自己負担なしで修理できます」という言葉を信じて火災保険の保険金請求をしたが、支払われなかった場合である。保険金をあてにしていたにもかかわらず受け取れず、工事代金をまかなえないということで、工事をキャンセルすることになる。

 

しかし、これらの場合でも、「保険金の何%」「工事代金の何%」といった違約金を請求されるケースがある。

 

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