(※画像はイメージです/PIXTA)

国民生活センターは10月11日から「屋根工事の点検商法」への注意を呼びかける報告書を公表している。屋根の無料点検をもちかけ、屋根が壊れているなどといって不安を煽り、高額な屋根の工事の契約を結ばせる手法であり、近年、高齢者を中心に、トラブルに遭うケースが急増している。「火災保険を使えば自己負担なしで修理できる」などといって勧誘するケースもある。本記事では、典型的な手口とトラブル回避の方法を紹介する。

「火災保険を使っての修理」を持ちかけられたら要注意

勧誘の際に「火災保険を使えば自己負担なしで修理できる」などと持ち掛けてくるケースもある。しかし、これには特に警戒しなければならない。2つの点が指摘される。

 

◆経年劣化は火災保険の対象外

第一に、火災保険が使えるのは自然災害等の事故による損害に限られる。経年劣化はそもそも対象とならない。故意に損傷させるケースは論外である。

 

もし、経年劣化による損傷を自然災害によるものと偽って保険請求をし、保険金が支払われた場合、あとで発覚したら保険金は返還しなければならなくなるほか、保険契約が解除されることもある。また、最悪の場合、詐欺罪(刑法236条1項)で罰せられることがある。

 

◆時間が経っていると請求が認められない可能性も

第二に、自然災害等で家が損傷したことを理由として保険請求する場合は、原因となる災害の発生日時や、どのようにして損傷したのかということを特定しなければならない。その立証ができなければ、保険金は支払われない。

 

一般論として、災害が発生してから時間が経てば経つほど、いつ、どのような災害によって損害が発生したのかということの証明は困難になっていってしまう。

 

日本損害保険協会の広報担当の木村拓登氏はいう。

 

「災害に遭って家が損傷したことを知った場合、できるだけ早く、損害保険会社か、加入した保険代理店の担当者に連絡してください。そうすれば、保険請求の手続きについてご案内します。」

 

屋根の場合、損傷したかどうかは分かりにくい。その場合はできるだけ早く、建築時の工務店等、信頼のおける業者に頼んで点検してもらうことをおすすめする。

 

いずれにしても、もし業者が「火災保険」の利用を持ちかけてきた場合には、警戒が必要だと考えられる。

トラブルを回避するための対処法

以上を前提として、「屋根工事の点検商法」のトラブルを回避するためには、どうすればいいのだろうか。

 

まず、業者が「点検させてほしい」といっても、安易に点検させないことが大切である。

 

もしも「点検」させた結果、契約を締結してしまった場合には、8日以内であれば「クーリングオフ」をすることができる。クーリングオフは、書面を郵送する方法、またはメール等の「電磁的記録」による方法のいずれかで行うことができる。

 

では、クーリングオフの期間を過ぎてしまった場合はどうか。弁護士の荒川香遥氏(弁護士法人ダーウィン法律事務所 代表)はいう。

 

「クーリングオフの期間を過ぎてしまったとしても、消費者契約法4条に基づき、契約の『取消』ができる場合があります。業者が重要事項について事実と異なることを告げて、それが事実であると誤認させられた場合等です。取消できる期間は、そのことに気付いたときから1年間、または契約締結から5年間です」

 

また、消費生活センターや、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターといった公的機関に相談すれば、適切なアドバイスを受けることができる。

 

「屋根工事の点検商法」のトラブルは増え続けている。とりわけ60代以上の方がトラブルに遭いやすい傾向があるので、注意が必要である。また、もしもトラブルが発生してしまった場合でも、被害を食い止めるためにできることがある。上述の公的機関や弁護士等の専門家に相談することをおすすめする。

 

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