(※写真はイメージです/PIXTA)

仕事のやり方が特定の個人にしかわからない状態を指す「属人化」。不正が起こりやすくなったり、担当者がいないと業務が止まってしまったりと、企業の組織力が低下する可能性があります。属人化は特に、専門性の高い業務で起こりがちです。では、どうすれば業務の属人化を避けることができるのでしょうか? 仕組み経営株式会社の取締役・清水直樹氏が解説します。  

定型業務における属人化の解消

定型業務とは、やり方が決まっていて、特に高度な判断や思考が必要とされない業務のことを指しています。

 

たとえば、筆者がこのように記事を執筆している業務は、思考を必要とするので定型業務とはいえませんが、書いた記事をウェブサイトにアップする仕事は判断や思考を必要としないので定型業務といえます。

 

マニュアルによって標準化を進める定型業務の属人化を解消する方法はズバリ、マニュアル化(手順書化)です。定型業務の場合、その手順の長さに差はあれど、ステップバイステップの手順にすることができます。

 

例)記事をウェブにアップする

1. ワードプレスにログインする

2. 「投稿」⇒「新規追加」をクリックする

3. タイトルと本文をコピーし入力する

4. 「公開」ボタンをクリックする

5. 記事が公開されているか目視で確認する

 

このような手順を誰でも見られる環境であれば、今日入社した新人でもベテラン社員と同じような結果を出すことができます。

スペシャリストなどが行う「非定型業務」における属人化の解消

一方の非定型業務の場合、定型業務とは異なり、簡単な手順書にすることは難しいです。たとえば、ブログの執筆を考えたとき、その手順としては以下のようになります。

 

1. テーマを考える

2. リサーチする

3. タイトルを考える

4. 記事構成を考える

5. 記事を書く

6. 校正する

 

こう書くと手順は非常に単純です。でもこの手順を知ったところで、新人がいきなりいい記事を書けるわけではありません。なぜならば、テーマを考える、タイトルを考えるという1ステップだけとっても、創造力や過去の知識の積み上げなくしてはいいテーマやタイトルが考えられないからです(SEO対策のための記事の場合には、ある程度定型化できますが、その話は置いておきます) 。

 

そのため、非定型業務における属人化の解消には、ちょっと工夫が必要になってきます。

 

仕事の分解

仕事を分解して、非定型業務を定型業務と非定型業務にわけ、非定型の比重を可能な限り下げる方法です。 たとえば上記にあげた、

 

1. テーマを考える

2. リサーチする

3. タイトルを考える

4. 記事構成を考える

5. 記事を書く

6. 校正する

 

という仕事の場合、「2.リサーチする」「6.校正する」に関しては定型業務にしやすいので、ほかの人でもできるでしょう。このように大きなブロックにしまっている属人的な非定型業務を分解していくことができます。

 

複数人でやる

仕事が属人化してリスクが高まるのは、その仕事を1人でやっているからです。たとえ仕事が属人化していても、同じ仕事を2人でやっていればリスクは減らすことができます。もちろん、その分人件費が倍になるというデメリットがありますので、属人化を避けることによるメリットとのバランスが大切です。

 

たとえば、某社では、社員の評価が上司の属人性に依存しないように複数人で評価する仕組みになっています。

 

報告システム・情報共有

報告システムや情報共有の仕組みを整え、仕事のブラックボックス化を防ぐ方法です。たとえば、仕事の状況をリアルアイムでほかのメンバーも見られる仕組みや、定期的に成果物を共有してもらい、それに対してフィードバックを提供する仕組みなどを整えます。いまではさまざまな情報共有ツールがありますので、この方法は比較的取りやすいといえるでしょう。

 

会議の仕組みを変える

これも、「報告システム・情報共有」に近いですが、会議を定期的に開催し、仕事内容を共有してもらう仕組みを作ります。日本では会議というと時間のムダ、というイメージが強いですが、会議も正しく運営することで、逆に「あとから発生する時間のムダ」を大幅に削減できるのです。

 

トレーニングシステムを変える

社員トレーニングの仕組みを整え、その仕事をほかの人でもできるようにすることで仕事の属人化、ブラックボックス化を避けることができます。

 

品質管理の仕組み(基準の設定)

品質管理の仕組みを取り入れることも属人性を解消するひとつの方法です。品質管理は業態や業種によってやり方が変わってくると思います。

 

製造業などの場合には、顧客に成果物を提供する前に品質管理を行うことができます。一方の中小企業の大半を占めるサービス業の場合、サービスの生産と納品が同時に行われます。そのため、納品時に上司が仕上がりを確認できる仕組みが必要になってきます。

 

トレーニングを受けてすぐに独り立ちするのではなく、最初は既存コーチのサポート付きで業務を行うとよいでしょう。

 

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