“食事はすべて割り勘”…厳しすぎる「法定後見」の闇
成年後見制度というのは、判断能力が落ちてきた方の財産管理や生活に必要な契約を代理で行うなどしてサポートする制度です。このように聞くと聞こえはいいのですが、現実は本人の財産を守るためだけの制度です。
したがって、実際に下記のようなトラブルが起こっているのが現状です。
旅行や食事は“すべて割り勘”に
成年後見人がつくと、被後見人は生活に必要な費用しか捻出できません。そのため、仮に夫に後見人がついた場合、旅行や食事、光熱費にいたるまで「すべて割り勘にしてください(=被後見人の分のみを出してください)」と言われるケースがあります。
この場合、妻は「夫の年金を当てにして生活している私たちは、いったいどうやって生きていけばいいの!」ということになってしまうわけです。
夫のお金で税金を払えない
その他にも、夫のお金は夫のためだけに使えることになりますので、妻に対しては「夫のお金で税金を支払ったり、家のことについての諸費用を払ってはいけません」と言われます。
つまり、夫の資産と家族の生活を区別させられるわけですから、夫の年金などに依存して生活してる家庭にとっては「理不尽極まりない」と感じてしまうのも無理はありません。
その他にも、10万円以上の費用を捻出する際は逐一家庭裁判所にお伺いを立てなければならないなど、とにかくこの制度は使い勝手が悪いといえます。
このように、自分たちの財産を使うのにもかかわらず他人の許可が必要となることに、どうしても不満を抱いてしまいますよね。したがって、実際に後見人と親族が良好な人間関係を築けないケースも多々あります。
成年後見制度は“やめたくてもやめられない”
さらに、上記のようなトラブルから妻が「この制度をやっぱりやめたい!」と思ったとしても、いちど成年後見人をつけてしまうと、裁判官や複数の医師立ち会いのもと本人が明確に「成年後見制度の利用をやめたい」と意思表示ができなければ、やめることができません。
成年後見制度というのは、すでに本人の判断能力が低下した段階で利用していますから、本人が「利用をやめたい」と意思表示をするのは難しいでしょう。つまり、現実的には途中でやめるのは不可能に近いということです。
法定後見制度が不評な理由をまとめると、下記の3つです。
1.成年後見人を自由に選べない
親族が後見人になれるケースは稀で、多くが弁護士や司法書士といった第三者となります。
2.親族に十分な説明がされない
親族にとって柔軟な財産管理ができないにもかかわらず、途中でやめることもできません。この点については、制度を利用するまで知らなかったという方も多いです。
3.必ず後見人に対する報酬が発生する
特に低所得者の方にとっては、月1万円の報酬の支払いでも厳しいというご家庭も多いです。