ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
富裕層の資産承継と相続税 富裕層の相続戦略シリーズ【国内編】
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
相続放棄は、被相続人の負債から身を守る有効な手段だが…
相続放棄とは、亡くなった方(被相続人)の権利や義務を一切承継しないという意思表示を家庭裁判所に行う手続きです。
プラスの財産よりもマイナスの財産(借金)が大きい場合、相続放棄を選ぶことが有効な手段となります。
親の借金から身を守るには優れた手段ですが、しかし、進め方を誤ると思わぬトラブルに発展することもあります。今回は、相続放棄でよくある失敗例とその回避策を整理してご紹介します。
よくある3つの失敗例とその回避策
失敗例1 せっかくのプラスの財産まで放棄するハメに…
相続放棄をすると、借金だけでなく親が残した預貯金や不動産などのプラスの財産も受け取れなくなります。「借金がある」と聞いて相続放棄をしたものの、後から財産があったとわかり、後悔するケースも少なくありません。
回避策 事前の調査を抜かりなく!
相続放棄の判断をする前に、保有する不動産の情報や銀行口座の残高を確認し、資産の全体図を把握するといった、財産調査を行うことが必須です。財産調査には、郵便物や保管物、通帳の確認のほかに信用情報機関への照会、という方法もありますが、一定の時間や手続きが必要になります。
財産調査をする際には、相続放棄の期限(3ヵ月以内)も考慮しなければなりません。確実に進めるためには、司法書士や弁護士などの専門家に依頼するのがおすすめです。
失敗例2 良かれと思って着手した「整理」で相続放棄できなくなった…
相続放棄をするつもりだったのに、親の遺産を整理したり、遺産から家の修繕費などを支払ってしまったりしたことで、結果的にマイナスの遺産を背負うことになったケースもあります。
回避策 手続き完了まで、財産には絶対手を付けないで!
相続放棄を考えている場合は、家庭裁判所に正式に認められるまでは、親の財産を使ったり処分したりすることは禁物です。もし財産を処分してしまうと「相続を承認した」と見なされ、相続放棄が認められなくなる可能性があります。手続きが完了するまで、親の財産には一切手をつけないことが重要です。
失敗例3 相続放棄の期限を過ぎてしまった…
相続放棄の期限は、「相続開始があったことを知り、かつ自己が相続人であることを知った日から3カ月」(民法915条1項)です。判断に迷っているうちに期限が過ぎてしまい、マイナスの財産を含めた遺産すべてを相続することになってしまった、というケースも少なくありません。
回避策 早めの手続きが重要だが、状況によっては期間延長の申し立ても可能
このケースに関しては、時間に余裕をもってできるだけ早めに手続きを開始する、という選択肢しかありません。とはいえ、財産調査をしたうえで判断したいが調査が難航している、というような場合は、家庭裁判所に「熟慮期間伸長の申立て」を行い、期間を延長することが可能です。
この延長の申し立ても専門的な手続きになるため、財産調査と同様に司法書士や弁護士に相談すると安心です。
まとめ…思わぬ落とし穴に注意!
相続放棄は、親の借金から自分を守る有効な手段ですが、思わぬ落とし穴があります。とくに下記の3点については十分理解しておくことが大切です。
●調査が甘いと、プラス財産も放棄することになる
●財産に手を付けると、相続放棄が無効になる可能性がある
●相続放棄の期限は3ヵ月以内と、かなり短い
失敗を避けるためには、財産調査をきちんと行い、期間内に正しく手続きを進めることが重要です。迷った場合は司法書士や弁護士など専門家に相談し、確実に対応することをおすすめします。
加陽 麻里布
司法書士法人永田町事務所
代表司法書士
注目のセミナー情報
【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション
【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
