選ぶなら「任意後見」か「民事信託」を
このように非常に評判の悪い法定後見制度ですが、「じゃあ他にはどのような制度があるの」というと、「任意後見」があります。また、最近は民事信託(家族信託)の利用も増えてきています。
■任意後見制度…本人が元気なうちに信頼できる後見人を指定
成年後見制度はすでに本人が認知症になっている場合に利用され、後見人には先述のように司法書士や弁護士がつくケースが多いのですが、「任意後見制度」というのは将来判断能力ががなくなってしまったときのために、自分の財産を管理してくれる後見人をあらかじめ任意で選んでおくというものです。
この場合、ご家族など信用できる人間を後見人として指定することが可能です。
■民事信託…財産の“一部のみ”の管理が可能
また、近年では「民事信託(家族信託)」という方法も注目されています。
後見制度というのは被後見人の財産すべてを管理するもので柔軟性がありません。しかし、民事信託であれば「不動産だけ」「預貯金だけ」といったように実情に応じて自由に財産の一部を管理する(=財産の一部の管理権限を信頼する人に与える)ことが可能です。
まとめ
今回は法定後見制度のデメリットを中心にみてきましたが、それでも上手に利用することができればもちろん財産を守るというメリットもあります。
どの制度を利用するかについては、ご自身やご家族の状況に応じて検討・判断するのがいいでしょう。
<<<【司法書士が解説】恐ろしい…評判の悪い「法定後見制度」の実態>>>
加陽 麻里布
司法書士法人永田町事務所
代表司法書士
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】