第三者が財産を管理…評判の悪い「法定後見制度」
「成年後見制度」とは
精神上の障害(認知症や知的障害)などの理由で判断能力が著しく低い方は、
・財産管理(不動産や預貯金などの管理、遺産分割協議をはじめとした相続手続きなど)
・身上保護(介護・福祉サービスの利用契約、施設入所・入院の契約締結)
といった法律行為を1人で行うのが難しい場合があります。
近年では、判断能力が落ちてきた高齢者が悪質商法の被害にあってしまうケースも増えていますが、こうした判断能力に不安がある方を法的に保護・サポートするのが「成年後見制度」です。
成年後見制度というのは大きく分けて「任意後見制度」と「法定後見制度」がありますが、今回は「法定後見」を中心にみていきます。
「法定後見制度」…後見人は裁判所が判断、月2万円程度の報酬も必須
「法定後見制度」では、すでに判断能力がない場合に親族などが家庭裁判所に申立てを行い、法定の後見人をつけていきます。
この制度の最大のポイントは、「誰が後見人になるのかわからない」というところです。たとえ親族が「後見人になりたい」と希望したとしても、弁護士や司法書士といった“第三者”が後見人になる可能性が高いです。
親族との関係や状況に応じて裁判所が判断するのですが、法定後見制度において親族が選任されるケースは、全体の20%程度といわれています。
そして、親族以外の専門家(=第三者)が後見人についた場合、月額2万円程度のランニングコスト(後見人への報酬)がかかります。
ただし、これは財産状況によって異なるため、資産が多ければその分の報酬を払わなければいけませんし、どれだけ資産がなかったとしても1万円~2万円ぐらいは毎月支払う必要があります。したがって、年金暮らしの高齢者にとっては相当厳しいという声もあるのが現実です。
このように、費用が発生する点や第三者に財産を管理されることに抵抗が強く、積極的な利用にはつながっていません。
また、近年は資産の横領など、後見人による不祥事も相次いでおり、とにかくこの制度は評判が悪いといえます。
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