米ドル/円が1ドル150円台から「急落」した理由【国際金融アナリストが解説】

10月10日~16日の「FX投資戦略ポイント」

米ドル/円が1ドル150円台から「急落」した理由【国際金融アナリストが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

10月3日、米ドル/円は1ドル150円の大台をつけましたが、すぐさま148円台まで急落。投資家のあいだでは「為替介入が起きたのでは」と注目されました。しかし、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏は、為替介入が起きた可能性は低いと指摘します。ではなぜ米ドル/円が2円以上も急落したのでしょうか。詳しくみていきます。

今週の注目点…CPI等米インフレ指標の発表

今週は、PPI(生産者物価指数)、CPI(消費者物価指数)といった米国のインフレ指標の発表が予定されています。今のところの主な予想値は以下の通りです。

 

・米9月PPI(前年比)=前回1.6%、予想1.6%

・同コア指数(前年比)=前回2.2%、予想2.3%

・米9月CPI(前年比)=前回3.7%、予想3.6%

・同コア指数(前年比)=前回4.3%、予想4.1%

 

上述のように、先週発表された9月NFPは予想を大きく上回る増加、「ポジティブ・サプライズ」となりましたが、それらを織り込んですでに米金利が大幅に上昇したと考えるなら、この雇用統計の結果がさらなる利上げの根拠になる可能性は低いと考えます。

 

今週発表のインフレ指標が予想通りインフレ是正の進展を確認する結果となるなら、11月以降のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ観測が高まる可能性は低いでしょう。

 

市場が予想以上に強い米景気をすでに織り込み、むしろそれを受けた米金利上昇などが、先行きの景気をどこまで減速させるかに注目を移しているなら、米金利のリアクションも上昇余地は限られ、低下余地にバイアスが大きくなりそうです。

 

米ドル/円は、そんな米金利および日米金利差と基本的に連動するので、次第に米ドル上昇余地は限られ、下落リスクへ注目が移っていく可能性があると考えます(図表6参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表6]米ドル/円と日米10年債利回り差(2023年4月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

以上を踏まえ、今週の米ドル/円予想レンジは147~152円中心で想定したいと思います。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

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