NHK受信料の支払いはなぜ「義務」なのか
NHKは、受信料の不払いに対する制裁として、受信料の2倍の「割増金」を請求しています。その前提には、法律上、テレビを持っている人に対し、NHKの受信料の支払いが義務づけられているということがあります。
受信料の支払義務を定めているのは放送法64条1項です。
【放送法64条1項】
「協会(NHK)の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、同項の認可を受けた受信契約の条項(認可契約条項)で定めるところにより、協会と受信契約を締結しなければならない。」
「受信することのできる受信設備」とあるので、テレビだけでなく、テレビ放送を受信できる「チューナー内蔵のスマホ」や「カーナビ」を持っていれば、「受信契約」をNHKと結ぶ義務があります。そして、その受信契約に基づいて受信料を支払わなければならないということです。
この受信料の支払義務は、たとえNHKをまったく視聴していなくても負います。NHKが受信料について、受信の対価ではなく「組織運営のための特殊な負担金」と説明しているのは、このことをさしています。
受信料不払いですぐ「2倍の割増金」を請求されるわけではない
2023年4月から、NHKは、受信料の不払いに対する制裁として、受信料の2倍の「割増金」を請求できることになりました。しかし、NHKは割増金を請求「できる」にとどまり、受信料の不払いがあれば直ちに割増金の請求をするというわけではありません。
NHKも、公式HPで、以下のように、不払いがあっても直ちに割増金を請求することはないと表明しています。
また、NHKは今回の件に関する報道資料で、以下のように記載しています。
これらのことからすると、まず、NHKから受信契約申込みあるいは受信料の支払いを促す「督促状」が届き、それでも応じない場合は電話や訪問員による説得がなされるとみられます。この段階で応じれば、割増金を請求される可能性は低いということです。
それでも応じなければ、民事訴訟の提起等、司法の手を借りることになり、この段階に達すれば、割増金を請求される可能性が高まるといえます。