デジタルエコノミーの急進展
ご存知の通り、世界規模で急速に進展する経済のデジタル化は、私たちの行動や生活様式、社会経済に大きな変化を与えています。
経済のデジタル化は、例えば、アマゾン(Amazon)の登場が街の書店に大きな打撃となったように、既存ビジネスの破壊を招く一方で、「ウーバー(Uber)」や「エアビーアンドビー(Airbnb)」に代表されるように、既存のモノやサービスに新たな価値を与え、経済拡大のエンジンとなる潜在力を秘めているため、世界各国はデジタルエコノミーの進展に鎬を削っています。
トップランナーの中国「財布を無くすより、スマホを失くす方が深刻」
そして、デジタルエコノミー進展のトップランナーは間違いなく中国であり、その象徴はチャイナテックです。スマートフォンのアプリを利用してタクシーかライドシェアの車に乗って通勤し、昼休みにはスマホを使ってデリバリーサービスでランチをすませ、仕事帰りにはスマホでオンライン・ショッピングを楽しむ─―。
そのような光景が中国の都市部では日常の姿となっています。百貨店やスーパーマーケットなどの大型店舗だけでなく、小さな小売店や露店に至るまで、ありとあらゆる商店でスマートフォン決済が利用できます。今や、中国の都市生活にスマートフォンは必需品で、それなしでは生活が成り立ちません。「財布を無くすより、スマホを失くす方が深刻」といわれるほどです。
このように、スマートフォン決済による急速なキャッシュレス化は、中国のデジタルエコノミーの進展を加速させています。
デジタルエコノミーは新しい概念ですから、今の段階では、統一された定義や計測法はありませんが、一般には、進展著しい情報通信技術(ICT)などのデジタルテクノロジーやデータの活用を中心とする経済活動だと理解されています。中国の政府活動報告には、2017年に初めて「デジタルエコノミー」という用語が登場して以来、毎回、この用語が使われています。
政府系シンクタンクの中国情報通信研究院の試算によれば、中国のデジタルエコノミー規模は、2002年の約19兆円から2018年に500兆円超にまで増加し、その後も拡大し続けています。さらに、GDPに占めるデジタルエコノミーの割合は、2018年の3割弱から2030年には8割に達すると予測されています。
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