(※写真はイメージです/PIXTA)

賃貸住宅を借りるとき、一戸建てでもアパート・マンションでも、ほとんどのケースで火災保険に入ることが条件となっています。しかし、自分が加入している契約内容を把握しているでしょうか。不動産会社から提示されたプランにそのまま入って余計な保険料を払っているケースがよくあります。逆に、必要な補償が欠けていて危険なケースも散見されます。そこで、本記事では、賃貸住宅の火災保険のポイントについて解説します。

賃貸の火災保険は「家財」にかけるもの

火災保険のメインの補償(主契約)は、自分の財産が家事や災害等によって滅失した場合にそれをカバーする補償です。

 

建物であれば、建物を再建したり修理したりするお金をカバーするものです。家財であれば、修理したり買い直したりする際の代金をカバーするものです。

 

賃貸住宅の場合、建物は家主の所有物なので、主契約の対象にはなりません。賃貸人が契約する火災保険は、あくまでも自分の家財が対象です(家財保険)。

 

なお、建物が家事や災害によって損傷した場合は、家主の火災保険で対応してもらうことになります。

 

◆「保険料の払い過ぎ」が最も多い「家財保険」

実は、賃貸の火災保険で保険料を無駄に払っているケースが最も多いのが、この家財保険です。つまり、家財保険の金額を過大に設定してしまっているケースです。

 

家財保険にとどまらず、損害保険は基本的に、実際に発生した損害をカバーするものです。高額な保険金額を設定しても、過大な部分の保険料は完全に無駄になってしまいます。

 

これは、不動産会社が提示する「セットプラン」に多くみられます。所有する家財の金額は人によって大きく違います。単身者であれば、家族で住む場合よりも少なくて済むし、極端なことをいえば、いわゆる「ミニマリスト」だとほとんどかけなくてもよいことになります。

 

実際にあった例ですが、1DKの賃貸マンションを借りた30代後半・単身者の男性で、特に高額な家財等を持っているわけでもないのに、家財保険金額が1,000万円に設定されていたケースがあります。賃貸の火災保険は保険料がそれほど高額にならないので、あまり気にせずに契約してしまうケースがあるのです。

 

火災ですべての家財が焼失してしまった場合、新たに買い直すにはどれくらいのお金が必要なのか、計算したうえで、家財保険の金額を設定することをおすすめします。

 

なお、賃貸の火災保険は、必ずしも不動産屋が提示するプランから選ばなければならないわけではありません。自分で損害保険会社・プランを選んで加入することはなんら差し支えありません。

賃貸の火災保険の本当の主役「借家人賠償特約」

このように、賃貸住宅の火災保険のメインの補償は、自身の所有する「家財」に発生した損害をカバーする補償「家財保険」です。しかし、賃貸の場合、これよりももっと重要性が高い補償は、自分が建物を誤って損傷した場合の補償です。「借家人賠償責任特約」といいます。

 

建物を損傷してしまった場合、家主に対して損害賠償責任を負うことになります。建物は高額なので、賃借人に資力がないと、家主は泣き寝入りしなければなりません。そこで、損害賠償金をカバーするために、保険をかけておかなければならないということです。

 

賃貸住宅を借りる際に、火災保険に加入するよう義務付けられているのは、この「借家人賠償責任特約」のためです。

 

保険金額については、建物が滅失した場合に再築するのにかかる金額を意識して設定します。広さや構造にもよりますが、たとえば、アパート・マンションの住戸の場合は1,000万円~2,000万円に設定することが多くなっています。

 

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