日本の会社員「上位10%」の台所事情
厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』から「男性/学歴計/企業規模:従業員10人以上日本のサラリーマン」の収入を調査すると、平均月収(所定内給与額)は34.2万円、平均月収賞与も含めた年収は554.9万円だった。
バブル崩壊以降、日本人の給料が伸び悩むなか、これが平均的なサラリーマンの実情だ。多くの人は、この数値を自分と比較し、一喜一憂するのではないだろうか。
では、サラリーマンのうち、頂上界隈にいる人たちの給料はどの程度だろう。総務省『家計調査』のデータを見ていこう。
ここで注目したいのは、年間収入十分位階級別の「第10階級」だ。これは日本の世帯を年収で分類したとき、上位10%にあたる家庭という意味である。第9階級と第10階級の境界線※は「年収1,228万円」であり、これを上回ると「上位10%」になる。
※ 2人以上の世帯のうち勤労者世帯
上位10%に入る勤労世帯の肖像だが、世帯主の平均年齢は51.6歳。平均2.02人が働いていることから、共働きが多いといえる。税引前の実収入は119万2,188円、そのうち世帯主(男)の収入は80万3,875円だ。
可処分所得(手取り収入)は90万6,744円で平均値より40万円ほど多く、支出は50万円弱で平均値より18万円ほど多い。家計は黒字で、預貯金等、資産運用に回せる余裕があると想定される。
◆日本の勤労世帯「年収上位10%」の家計支出
★可処分所得:90万6,744円(50万0,914円)
★消費支出:499,681円(32万0,627円)
(内訳)
・食料:108,906円(80,502円)
・住居:20,915円(20,115円)
・光熱・水道:28,109円(24,421円)
・家具・家事用品:19,526円(13,000円)
・被服及び履物:21,489円(11,293円)
・保健医療:20,060円(13,708円)
・交通・通信:73,722円(50,688円)
・教育:43,626円(18,126円)
・教養娯楽:53,979円(29,737円)
・その他の消費支出:109,348円(59,036円)
出所:総務省『家計調査 家計収支編』(2022年平均)より。(かっこ)内は平均値。
純貯蓄額は平均値の「約3倍」
次に、資産運用の状況を見てみよう。
会社員上位10%の貯蓄額は3,140万円、負債を差し引いた純貯蓄は2,000万円弱となっている。平均値と比較すると、貯蓄額は2倍、純貯蓄額は3倍近い。
◆日本の勤労世帯「年収上位10%」の家計貯蓄・負債
★貯蓄:3,140万円(1,508万円)
(内訳)
・通貨性預貯金:1,044万円(556万円)
・定期性預貯金:724万円(384万円)
・生命保険など:664万円(321万円)
・有価証券:547万円(194万円)
・金融機関外:162万円(52万円)
★負債:1,281万円(879万円)
出所:総務省『家計調査 貯蓄・負債編』(2022年平均)より。(かっこ)内は平均値。
あくまでも平均値ではあるが、51歳の会社員だと仮定すれば、定年まで10年弱残っている計算で、その間にもさらに資産は積みあがっていくことが予想できる。
いざ65歳から年金を受給するとなれば、どれぐらいになるのだろうか。20歳~60歳まで働き、32に区分されている「平均標準報酬額」が最高の「32」なら、国民年金と厚生年金を合わせて月20.8万円。さらに65歳まで働いたなら月22.6万円。現役時代の給与に比較すれば「慎ましい額」かもしれないが、平均的なサラリーマンの状況と比較すれば相当なものだ。
さらに十分な蓄えもあるだろう。もちろん家庭により事情はそれぞれで、きっと悩みもあるだろうが、庶民の悩みとは一線を画す「お金持ちならでは」のものである可能性は高いだろう。
給料が伸び悩み、年金に不安を抱える日本国民の現状。先進各国から置き去りにされ、沈みかかっている日本であっても、上位10%の勝ち組なら、老後は十分逃げ切ることができる、といえそうだ。
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