香港市場の9月動向と10月見通し
9月の香港市場…ハンセン指数は年初来安値を更新
中国経済の先行き不安や米金融引き締めの長期化観測などが重荷となり、香港市場は月初から下落基調が続いた。
ハンセン指数は26日に年初来安値を更新。米FRBは9月会合で政策金利を据え置いたが、年内あと1回の追加利上げの可能性が示唆された。
需給面では、サウスバウンド経由の中国マネーによる押し目買いが続いており、26日時点までの買い越し額は467億HKD(約8,900億円)に上った。
個別銘柄では、グロース株の軟調さが目立った一方、中国電信(00728)と中国移動(00941)は高配当利回りのディフェンシブ性などから堅調だった。
10月見通し…底堅い展開を想定、仕込み場到来か
10月の香港市場は、底堅い展開を想定。バリュエーション面での割安感が強まっているため、下落局面は仕込み場と捉えたい。
1日から米政府機関が一部閉鎖する可能性や中国投資家の不在(国慶節連休の3~6日、サウスバウンドは売買停止)などにより、香港市場は月初、上値の重い展開になりそうだ。
中旬頃は18日に発表される中国の主要経済指標を見極めたいムードが広がりやすい。
香港政府が立ち上げた香港市場の流動性を高めるためのタスクフォースの動向にも注目。進展があれば、相場の支援材料となろう。
2日は国慶節の翌日、23日は重陽節で休場となる。
中国市場の9月動向と10月の見通し
9月の中国市場…売り優勢、深センは約3年半ぶり安値
9月の上海総合指数は3,100pt前後の狭いレンジでもみ合い。深セン成分指数は22日に約3年半ぶり安値の9,962ptまで下落した。
中国景気の先行き不安や米中対立への警戒感が相場の重し。対米ドルでの元安基調もあり、外資によるA株売越額は342億元(月初~9/26)と資金流出が続いた(8月は897億元の売り越し)。
中国人民銀行が15日に預金準備率を0.25%引き下げたが、相場押し上げ効果は限定的。中秋節・国慶節連休を前に積極的な売買が手控えられ、売買代金(上海+深セン)が今年最低の5,000億元台まで減少する日もあった。
10月の見通し…自律反発か、好業績銘柄に注目
◆深セン成分指数の9月予想レンジ……9,500~11,000pt
10月の中国市場で上海は3,200pt、深センは11,000ptの回復を目指す展開か。割安感がある好業績銘柄を中心に自律反発が想定される。
月末までに7~9月期決算が発表されるが、立訊精密工業(002475)はすでに最大27%増益見通しを発表済みだ。また、景気拡大に向けた消費促進や国策関連セクターの後押し策が浮上すれば、海外投資資金の再流入のきっかけにもなるだろう。
一方、18日公表の中国の7~9月期GDPなど各種経済指標を見極めながらの神経質な展開も予想される。
2~6日は国慶節関連の祝日で休場。
龔 静傑
東洋証券香港現法亜洲有限公司
中国株アナリスト/香港ストラテジスト
山藤 秋男
東洋証券株式会社上海駐在員事務所
中国株アナリスト/ストラテジスト
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