(※写真はイメージです/PIXTA)

潤沢な資金があっても、理想のセカンドライフを叶えることはそう容易くはないようです。元エリートサラリーマン、俺はまだまだ終わらない!と定年後も奮闘も、もう若くないと実感し退職金を失う事態に……。一体なにが起きたのでしょうか? 本記事では、東さん(仮名)の事例とともに、定年後の会社経営に関する注意点を、FP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。

元大企業部長、定年退職後はビジネスホテルのオーナーに

東幸二郎さん(仮名/68歳)は、大手企業に長年勤務してきました。若いころにはトップセールスとして活躍し、持前の交渉力で数々のプロジェクトを成功に導き、部長職にまで昇進。65歳で定年退職したのでした。

 

東さんはまだまだやれる!という強い気持ちから、引退後も自らの経験を活かしてなにか事業をしたいと考えていました。そんなとき、地元で長年ビジネスホテルを経営してきた知人(80歳)が後継者不在に悩んでいることを知ります。地元で複数のビジネスホテルを経営し、東さんが若いころから親しくしていた地元の先輩です。

 

大企業で実績を積んできた自負のある東さんは、ホテル業界は未知の分野でしたが「俺ならできる」と、退職金5,000万円を使い会社を購入することに決めたのでした。以前は近くにある工場への出張客で賑わっていたホテルでしたが、工場の規模縮小や閉鎖により数が減ってしまい、宿泊客も減っている状況でした。しかし、東さんにはそんなホテルに再び賑わいを取り戻す自信があったのです。購入を決定する前には財務諸表をチェックし、業績は芳しくはないが決して悪くはなく、業績を向上させれば十分に再建が可能だろうと判断しました。

 

元大企業部長の見事な手腕

東さんが社長に就任したあと、ホテルをリノベーションすることでビジネス目的だけでなく観光客にもスポットを充てたサービスを展開し、古くなってきた内装も一新してリノベーションを行ってきました。持ち前の交渉力で地元の観光協会とタイアップした取り組みが功を奏し、多くの観光客を呼び込み。不採算部門だったレストラン事業を廃止して固定費を削減しつつ、近隣の飲食店と地元の名物を楽しめるオリジナルメニューを開発して出前を頼み、利益を得られる体制を作るなど、さすがの手腕を発揮してきたのでした。

 

しかし、意気揚々と新社長に就任し、幸先よいスタートを切った東さんでしたが、早々に大きな問題に直面することに……。

 

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