画像:PIXTA

就業規則や労働時間、賃金、人間関係などで、「これってどうなんだろう?」という「職場の疑問」を感じたことはありませんか? 社会保険労務士である村井真子氏の著書『職場問題グレーゾーンのトリセツ』(アルク)より一部抜粋して紹介する本連載。実際の現場で起こり得る企業の曖昧な状況について、疑問に答える形で社会保険労務士が分かりやすく解説します。

ドレスコードが「暗黙の了解」で決まっている場合

Q:「女性はスカートとパンプス着用で」と言われたけど、守らないとダメですか?

A:仕事で 「本当に」必要ならば、守る義務があります。

 

就業規則に記載があるだけでなく、暗黙の了解でドレスコードが決まっている企業はたくさんあります。特に接客の仕事では、企業イメージを守るために服装規定を持つことが一般的です。ですので、本当に必要であれば、服装の基準は守る義務があります。

 

でも、「仕事に必要な範囲」は企業や仕事の内容で異なりますよね。仮に、この範囲を超えて、女性だけに服装制限をかけることは別問題です。規定を作った当時と現在では常識が変わり、時代に合わない規定が残っていることもあります。疑問を持たれたら、ぜひ一度、人事部や総務部を通じて声をあげてはどうでしょうか。

服装規定が「裁判」にまで持ち込まれた例も

現在はトランスジェンダーの人だけではなく、「表現する性*1」の観点から服装規定を見直す動きもあります。こうした視点は企業のガバナンスを考える視点でも非常に重要です。実際、こうした服装規定を見直すことはそのような情報に目配りできていると社内外にアピールする効果があります。

 

また、就業規則を変えるには、「労働者の代表者から意見を聞くこと」が義務づけられています。つまり、企業側が勝手に就業規則を変えることはできないのです。就業規則に疑問があるときは、労働者側の代表者に直接相談してみる方法もあります。過去の就業規則の改定時に、意見書を書いた人を探してみるのもいいでしょう。

 

ちなみに、「ジャージでの就業禁止」「髪の色は自然界に存在する範囲にとどめること」といった規定を持つ企業もあるようです。他の社員の規律を乱さないために、このような制限をかけているのでしょう。さらに、バス会社の運転手が脱帽して運転したことについて、着帽させることは合理的であるという裁判例*2もあります。服装規定は裁判にまで持ち込まれることもあるのです。

 

*1:「表現する性」とは、性のあり方を規定する要素の一つです。言葉遣い・服装・振る舞いなど、自分らしさが社会からどのような性別と捉えられているのかを表すもので、例えば自分が女性だからといって、 いわゆる 「女性らしい」服装を好まないとしても、それは性表現として尊重されるという考え方です。

 

*2:東急バス事件(東京地裁平成十年十月二九日判決)路線バスの運転手に対し、会社が行った懲戒処分に関する裁判です。会社は運転手に対して、就業中は帽子をかぶることを就業規則で義務づけていました。この裁判では運転手ということが一目でわかるという点からも着帽規定は合理性のあるものと判断されました。

 

 

村井 真子

社会保険労務士

職場問題グレーゾーンのトリセツ

職場問題グレーゾーンのトリセツ

村井 真子

アルク

ちょっと聞きにくい75のモヤモヤ疑問をすっきり解決! 「知らなかった」で損をしない、働く人の必携書 日本社会はかつてない速度で変化し、多様な働き方が定着しつつあります。 でも、法律は現場の変化に追いついていませ…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧