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就業規則や労働時間、賃金、人間関係などで、「これってどうなんだろう?」という「職場の疑問」を感じたことはありませんか? 社会保険労務士である村井真子氏の著書『職場問題グレーゾーンのトリセツ』(アルク)より一部抜粋して紹介する本連載。実際の現場で起こり得る企業の曖昧な状況について、疑問に答える形で社会保険労務士が分かりやすく解説します。

特別休暇の導入で気をつけるべきこと

Q:バースデー休暇の導入を検討中。注意すべきことはありますか?

A:目的にそった運用方法を定めておくことが重要です。

 

バースデー休暇はアニバーサリー休暇ともいい、誕生日当日や誕生月の任意の一日に休暇をもらえる制度です。こうした会社が独自に与える休暇制度を特別休暇*1といい、失恋したときに休める失恋休暇や、大切なペットとのお別れの時間を過ごしたい社員にペット忌引休暇を用意するなど、各社が独自の休暇制度を福利厚生として用意することがあります。慶弔休暇やお盆時期の夏季休暇などもこの特別休暇によるものです。

 

特別休暇は会社が自由に付与内容を決めることができますが、それだけに大切なのは「何のためにこの休暇制度を導入するのか」という目的を持つことです。例えば、バースデー休暇は、誕生日当日にしか休めないのか、当月中ならいいのか、この二つはプライバシー情報の観点から大きく異なります。

 

また、自分の家族の記念日も休みの対象に含めるのか、そうしたことで付与の範囲が大きく異なってきます。誕生日を周囲に知られたくない人もいます。せっかくの特別休暇が制度だけのものにならないよう、導入前には提案者の考えを共有し、社員にアンケート調査などを実施してそのニーズを確認しましょう。

「トラブルになりやすい部分」をクリアに

目的が決まったら、休暇の内容を定めます。いつ休むことができるのか、休むことができる日数、休んだ日は有給か無給か、など目的に照らして決めていくことをお勧めします。誕生日と会社の公休日が重なるときの判断や、取得可能日数は暦日なのか労働日に限定するのか、などもトラブルになりやすい部分です。休暇を提案・採用する側の意図が誤って伝わらないよう、細かい部分も就業規則に定めておくとよいでしょう。

 

なお、特別休暇を年次有給休暇の計画的付与(会社が有休を与える日を設定)とすることもできます。その場合も就業規則に定めるほか、会社と労働者の代表者または労働組合の間で、計画的付与についての労使協定を結んでおく必要があります*2

 

*1:厚生労働省「令和3年就労条件総合調査の概況」によると、なんらかの特別休暇を導入している企業は約6割にのぼります。最も多いのは夏季休暇(42.0%) 、次いで病気休暇(23.8%) 、リフレッシュ休暇 (13.9%) です。

 

*2:正社員に限定して設ける場合は、同一労働同一賃金との関連も問題になります。導入する場合は、非正規社員でも勤続年数に応じて利用できるような制度とすることが必要です。

 

 

社会保険労務士

村井 真子

職場問題グレーゾーンのトリセツ

職場問題グレーゾーンのトリセツ

村井 真子

アルク

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