三者会合後の神田財務官の発言から2週間後、為替介入実行
神田財務官「あらゆる措置を排除せず、為替市場で必要な対応を取る準備がある」
このなかで、とくに「為替市場で必要な対応を取る」とは、関係者によると「為替介入」の意味とされます。この当時の報道を見ると、上述の神田財務官の発言を引用しながら、「為替介入についての具体的な言及はなかった」との解説もありました。
確かに具体的には言及しなかったものの、実際の意味としては、「あらゆる措置を排除せず、為替介入の準備がある」ということだったのでしょう。
それにしても、この神田発言があったのは9月8日。これに対して米ドル売り・円買いの為替介入が実現したのは9月22日と、ほぼ2週間後のことでした。なぜ実質的には「為替介入の準備がある」と語ったと見られる発言を行いながら、それが実行されたのが約2週間も後になったのか(図表2参照)。
それは、この9月8日の神田発言の後、米ドル高・円安が一服したためだったのではないでしょうか。この発言後、米ドル/円は145円を大きく超えられない状況が続きました。そして、ついに145円を大きく超えてきたのが9月22日だったのですが、それに対してすかさず米ドル売り・円買いの為替介入が実行されるところとなったのでした。
以上のように見ると、9月8日の神田財務官の「あらゆる措置を排除せず、為替市場で必要な対応を取る準備がある」との発言は、まさに「ここから更に円安となったら為替介入を行う」という意味であったと考えられます。
さて、先週米ドル高・円安が147円を大きく超えてくると、6日、神田財務官は以下のように発言しました。
「政府としてはあらゆる選択肢を排除せずに適切に対応していきたい」
これは、2022年9月8日の発言、「あらゆる措置を排除せず、為替市場で必要な対応を取る準備がある」と前半部分はほぼ同じです。
為替介入を示唆する「為替市場で必要な対応を取る」との表現は使われていなかったものの、為替介入を決めた後だった可能性のある2022年9月8日の発言にかなり近いという意味では、今回の場合も為替介入は実行寸前の段階に達している可能性があります。