【実話】人気ナンバーワンのお皿、「1枚プレゼント」では選ばれなかったのはなぜか?…ある食器メーカーで起きた〈消費者行動の謎〉

【実話】人気ナンバーワンのお皿、「1枚プレゼント」では選ばれなかったのはなぜか?…ある食器メーカーで起きた〈消費者行動の謎〉
(※写真はイメージです/PIXTA)

売れる商品やサービスを提供するためには、顧客の真意を正確に理解し、誤った判断を避けることが不可欠です。販促コンサルタントである岡本達彦氏の著書『お客様目線のつくりかた:顧客視点は仕組みで生み出せる』(悟空出版)より、「ある食器メーカーで起きた実例」を一部抜粋して紹介します。

選ばれたのは人気ナンバーワンのお皿ではなかった

人は文句や忠告ばかり気になりますが、そこを直しても、じつはあまり変化が起こらないことが少なくありません。というのも、多くは「どうでもいい人の、どうでもいい意見」にすぎないからです。

 

ある食器メーカーの有名な話があります。新しい商品を開発するため、主婦の方々を集めてリサーチをしました。その際、さまざまな色、さまざまな形のお皿のサンプルをつくり、テーブルの上にずらっと並べて「どれが魅力的ですか?」と意見を聞きました。

 

結果。黒い三角形の斬新なお皿が、「こんなお皿があったら面白いね」ということで、人気ナンバーワンになったそうです。そこでリサーチが終わり、「皆さん、ありがとうございました。ご意見、参考になりました。アンケートにご協力していただいたお礼に、好きなお皿を1枚プレゼントします」と伝えます。

 

すると大勢の人が選んだのは、「白色の丸い皿だった」そうなのです。三角形の黒い皿は、本当に欲しい対象だったのでしょうか?

 

集まった人がべつに噓をついていたわけではないでしょう。「どれが魅力的ですか?」と聞かれれば、斬新なデザインのお皿を選びたい。でも、実際に持って帰っていいならば、使いやすい商品を選びたい。おそらく意見を言った方が、三角形の斬新なお皿を買うことはないでしょう。

 

こういうことはよくあるのです。「どんなものがあったら売れると思うか」と聞けば、大勢の人がいろいろな意見を言います。「こんな本があったらぜひ読んでみたい」とか、「こんな機能のアプリがあったらぜひ使ってみたい」とか、「こんなお店があるなら、ぜひ行ってみたい」とか。

 

でも、そういう意見の方に、「そんな本を探してみたことがあるか?」とか「そんなアプリがないか調べたことがあるか?」とか、「そういうお店を知っている人がいないか、聞いてみたことがあるか?」と聞けば、決まって「ノー」と答えるでしょう。

 

つまり、実際にそんな商品があったとしても、意見を言うだけの人は、おそらく購入することはない。最初から買うことを考えていない人に、「どんな商品があったら欲しいですか?」と聞くのは、判断を誤らせる情報にしかならないのです。だから意見を聞くのであれば、すでに購入したお客様に「何が決め手で、この商品を購入したのですか?」と聞かなければなりません。

 

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「お客様目線のつくり方」

「お客様目線のつくり方」

岡本 達彦

悟空出版

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