全国に約8万人いる「税理士」…専門分野や人柄もさまざま
今回は「良い税理士と悪い税理士の見分け方」について解説します。
税理士とは、ざっくり説明すると「税金のエキスパート」です。たまに「税務署と似たようなものですよね」と勘違いする方もいらっしゃいますが、税務署はいわゆるお役所の方であり、納税者に税金を課す側です。私たち税理士は、確定申告が必要な方や決算が必要な法人の方など、納税者のサポートをする仕事です。
現在、税理士は全国で約8万人、税理士の事務所(~税理士事務所、~税理士法人など)は約3万事業所です。
同じ医師という職業でも、美容関係専門だったり、産婦人科だったりといろいろな専門の先生がいるように、税理士も8万人もいればいろいろなタイプの税理士、あるいは人がいます。なかには「何でもできる」と謳う事務所もありますが、法人税専門や相続税専門といったように税目ごとの専門があったり、あるいは建設業専門や不動産専門というように業種に特化した事務所があったりなど、さまざまな事務所があります。
私たちで言えば、特にナイトマーケット業での実績が顕著です。性風俗や銀座のクラブ、キャバクラといった事業での申告や、そこで働く女性たちの申告をお手伝いしているのですが、こうした業種には税務調査がつきものです。そのため税務調査を扱う件数も多いという、ちょっと変わった事務所になります。
このように全国8万人もいればいろいろな税理士がいて、人柄としても、優しい人がいればちょっと気の強い人もいるわけです。そこで本記事では「良い税理士」「悪い税理士」の見分け方を紹介します。
「良い税理士」の特徴
まず、良い税理士について見ていきましょう。
■良い税理士の特徴①親身になってくれる
1つ目は「親身になってくれる」ということです。もちろんお客様は税理士にお金を払っているわけですから、親身になってくれないのは最悪ですよね。まず「他人のお金」という感覚で取り組んでいるようなドライな税理士だと、「自分のお金じゃないからいいや」と依頼者のお金を軽視してしまう人もいます。
また税理士は「先生」と呼ばれるのですが、“先生業”だと天狗になってしまう人もいます。偉そうにふんぞり返り、コミュニケーションが取りづらい税理士というのもよくありません。“先生業”ではなく“サービス業”として対応してくれる税理士が好ましいと思います。
他にも、税理士は「税法」という難しい法律のなかで生きていくので、たくさんの専門用語を扱います。お客様に対しては、その専門用語をいかにわかりやすく噛み砕いて伝えるかが大事な仕事になるのですが、あえて専門用語をばんばん多用してマウントを取るような税理士もいます。ですから、専門用語を使わずに簡単にわかりやすく説明してくれるのが良い税理士だと思います。
あとは、やはり「会社経営などについて一緒に考えてくれる身近な存在」であることが大事です。
■良い税理士の特徴②役立つ提案をくれる
2つ目は「役立つ提案をくれる」ということです。たとえば、利益が出ている会社が税金を払うことになったので節税策を講じることになったとき、しっかり節税の提案をしてくれるなどです。もし突然「社長さん、明日2,000万円を納税してください」と言われても用意できませんから、手前の段階から納税の予測をしっかり立ててくれたりとか、資金繰りの相談をしてくれたりですね。
また、税理士業務とは少しズレるものの、助成金の提案やアドバイスができるかどうかも大切です。補助金や助成金は企業経営をしていると必ずセットになってくるものです。税理士がいわゆるハブとなって社会保険労務士や行政書士、弁護士といったいろいろな専門家をつなぎながら、お客様に対して役立つ提案ができるというのは良い税理士だと思います。
■良い税理士の特徴③料金が明瞭
続いて3つ目は「料金表が明瞭である」ということです。銀座の寿司店などで「時価」という言葉を見かけますが、「いくらだよ」と突っ込みたくなりませんか? 税理士事務所でもいまだに料金表のないところがたくさんあります。
記事冒頭で税理士は全国に約8万人、事務所は約3万といいました。3万ある事務所のうち約95%が、マンションの1室や自宅を事務所として、税理士1人・社員1人・パートさん1人という体制で運営しています。この体制が良い・悪いという話ではないのですが、こうした事務所のなかにはホームページがない、料金表がない、サービス内容の案内がないなど、ないない尽くしであることが珍しくありません。「このお客様は羽振りがよさそうだから、金額を上乗せしてしまおうか」ということもできてしまうわけです。
ですから料金表があるということは大前提になりますし、役務提供の内容が料金に見合っているかどうかという点も重要ですので、料金が明瞭なのは良い税理士事務所だと思います。
■良い税理士の特徴④税務調査で戦ってくれる
4つ目は「税務調査で戦ってくれる」ということです。会社や個人事業を経営していると、税務調査といって税務署から確認作業に入ることがあります。何もやましいことがなくても嫌な気持ちになるものですし、結果次第ではお金を払うことになるのでストレスを感じます。そんな状況において、納税者の味方側に立ってくれるどころか「いやいや、税務署の言うことを聞いておいたほうがいいですよ」と言ってくる税理士は意外とたくさんいるのです。税務署の言いなりになってしまう税理士は頼りないですよね。
悪い税理士の特徴
反対に「悪い税理士」の特徴を見ていきましょう。前項で挙げた「良い税理士の特徴」の逆で、まずは「上から目線」であるということです。次に、税理士以前に社会人として問題がありますが、言うことを聞かないと怒ったり、期限を守らなかったり、専門家であるにもかかわらずミスが多いケースもあります。
他にも、連絡が取れない、あるいは偉そうなので連絡を取りづらい雰囲気を感じるなどが挙げられます。困っているからこそ依頼したいのに、そもそもコミュニケーションを取れません。このようなケースがいまだにあるのです。
あとは「脱税思考の税理士」です。
たとえばお客様が「今年、売上が増えちゃったよ。どうしようか。」と相談したときに、節税の提案をするのであれば問題ありません。ところが、真顔で「よし、売上を抜いちゃいましょう。」「これを経費にぶち込めば、利益が減るじゃないですか。そしたら税金が減ります。」と平気で提案します。このような脱税思考の税理士が普通にいるのです。
今年も脱税スキームで逮捕された税理士がいたので、次回以降の記事で解説したいと思います。
まとめ
以上、今回は「良い税理士、悪い税理士の見分け方」について紹介しました。この見分け方を知ることが正しい節税につながります。
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【良い税理士の特徴】
●親身になってくれる
⇒依頼者のお金を軽視しない
⇒サービス業として接する
⇒専門知識をわかりやすく説明してくれる
●役立つ提案をくれる
⇒節税の提案
⇒助成金の提案(専門領域を渡った提案・業務ができる)
●料金表が明瞭
●税務調査で戦ってくれる
【悪い税理士の特徴】
●上から目線
●期限を守らない
●ミスが多い
●連絡が取れない
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適切なアドバイスをもらうには、ある程度の基準を持ってきちんと税理士を選ぶことが重要です。本稿が税理士選びのご参考になれば幸いです。
松本 崇宏
税理士法人松本 代表税理士
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴税額ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本
税務調査特化税理士法人として全国6ヵ所(渋谷、錦糸町、新宿、横浜、柏、大阪)にオフィスを構え、“成功報酬型”税務調査サポートを提供する税理士事務所では国内No.1の規模を誇る。国税局に勤めていた、いわゆる「国税OB」が複数名所属。税務調査相談実績は累計1000件以上。一般業種より税務調査が厳しいと言われる風俗業界の税務に10年以上特化し、追加徴税額ゼロ円の実績も多数。
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