海外資産を活用した相続対策は難しくなったが・・・
④海外資産でリスクの分散をする
かつてはシンガポールや香港など外国の口座に預金を移して相続財産を減らし、相続税を節税するという方法が多く採られていましたが、今は難しくなっています。5000万円以上の海外資産については国への報告義務があるためです。
相続税や所得税から逃れるために海外移住をする人も増えています。ただし、平成27年7月1日からは海外移住する場合にも「出国税」が課されることになりました。1億円以上の株式を持っている人については、保有株式の含み益に所得税が課されます。また、海外移住が形のうえだけで生活の実態が日本にあると見なされると、相続の際は日本のやり方で相続税が課されます。
それでも現預金や不動産は国内のみで所有するのではなく、海外でも所有しておくことをおすすめします。なぜなら、日本の国そのものが破綻してしまう可能性もゼロではなく、大きな地震や津波などで不動産を失うこともあるからです。資産を外貨で持っておいたり、地質学的に安全な国に不動産を買っておいたりするほうが安全でしょう。
核シェルターのあるスイスの物件も選択肢に!?
知り合いの開業医には、ステイタスとしてドバイに別荘を買った人がいます。また、永世中立国であるスイスでは「自分の身は自分で守る」という意識が徹底していて、地下に核シェルターがあると聞きました。核戦争の恐怖を考えると、そういうところに家を買っておくのも選択肢の一つかもしれません。
私の友人にスイス人のプライベートバンカーがいますが、スイスで投資用不動産を中心に資産家向けの事業を行っています。一つの賃貸物件に対して法人をつくり、90%の株式を投資家が持ち、10%の株式を彼が持ちます。そうしておいて、彼が賃貸物件の管理を行うのです。物件の一部が彼の財産でもあるわけですから、当然、利益を上げるために彼は一生懸命、管理を頑張ります。日本にいながら海外の賃貸不動産経営をするのは、仲介業者が入居募集を怠るなどの手抜きをしていても気づけなかったりして難しい面がありますが、こうしておけばリスクを減らせます。
金を資産として持つのと同様に、ワインを資産として持つ人もいます。ワインが好きな人にとってはコレクションも兼ねた投資ができるので、特にヨーロッパでは人気があります。
国内にこだわらず世界に目を向ければ、いろいろな投資やユニークな資産の持ち方、活用法などがあります。節税というより財産を失うリスクを分散するという意味で、海外資産を持っておくのが理想的です。