「リスペクト」がなければ、チームはもう回らない
みなさんは最近、職場で「リスペクトされている」と感じていますか?
自分はまわりのメンバーから十分に評価されている。承認されている。知識や能力などを認められている。そう感じるでしょうか? あなたの価値は、職場で正しく理解されていますか?
世の中には、同僚にポジティブな言葉をかけるカルチャーがない組織もあります。一緒に仕事をしている相手を、わざわざ褒めるのは照れくさい。だから面と向かって褒めたりはしない。各自が各自の仕事をやっていれば、それでよいと考えるわけです。
言われた仕事を黙ってやる。やって当たり前。それ以上でもそれ以下でもない。担当業務をこなしたくらいで、いちいち褒めたり喜んだりしていられない。そういうムードがただよう職場もあります。
しかし、その「やって当たり前」「できて当たり前」という文化が、職場に悲しいすれ違いを生んでいる場合もあります。悪気なく発した一言、何気ない態度がチームの一体感を壊してしまうときもある。ただ仕事をこなすだけではなく、お互いの仕事を認め合い、理解し合うのも必要です。
そこでリスペクト不足とはどういった状況なのか、そして仕事を認め合うために何をすればよいのかを、具体例を挙げながら紹介していきます。
リスペクト不足で職場がうまく回っていないとき、私たちは何をすればよいのか。どのようなリスペクティング行動を心がければ、状況を変えていけるのか。いろいろな事例を通じて、働き方のヒントを探していきます。
【全5問】A or Bどちら?「リスペクトとは?」を考えてみよう
みなさんにいくつか質問をします。「リスペクティング行動」を実践的に考えるための問いです。
次の5つの問いを読んで、「相手にリスペクトを伝えやすいのはどちらなのか?」を考えてみてください。具体的な場面、具体的な行動をイメージしながら、「そもそもリスペクトとは何か?」「自分はどうするのがよいか?」をより実践的に検討してみましょう。
どの場面にもいろいろなやり方があると思いますが、ここでは2つの選択肢を用意しました。どちらか自分の考えに近いほうを選んでください。
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【①チーム全体で取り組む新プロジェクトが発足。どのように依頼するか?】
A チーム全員の前でプロジェクトの目的などを説明する
B 中心メンバーに概要を伝えて、みんなにも言っておいてもらう
【②お取引先とミーティングをする際、実施場所はどのように決めている?】
A 相手が都市部に大きなオフィスを持っているので、基本的にそちらに行く
B 相手先に行くときもあるが、こちらに来てもらうときもある
【③複数の関係者に会議の日程を打診する。理想的な聞き方はどちら?】
A 早く決めたいから、関係者全員のチャットグループをつくる
B 全員に候補日を複数出してもらい、1週間以内に決定する
【④メンバーからの報告がいつも遅れ気味。どう対応すれば改善する?】
A 「なぜ遅れてしまうのか」と問いかけて、対策を出してもらう
B 簡単な内容はチャットで報告させて、報告のスピードを上げる
【⑤会議で若手がプレゼンを披露。物足りない出来だった場合、どう注意する?】
A どこが課題なのかに気づいてほしいので、具体的に指摘する
B 若い頃は課題が多いもの。まずはチャレンジした点を褒める
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いかがですか? どちらが相手にリスペクトを伝えやすいか。自分は日頃リスペクトを示せているか。5つの問いを通じて、仕事の仕方について、じっくり考える機会を持ってもらえたら嬉しいです。
【回答&解説】組織開発専門家・沢渡あまね氏が選んだのは…
5つの問いに対する、私の回答を紹介します。私は以下のような行動をしたほうが、リスペクトを伝えやすいと考えています。ただし、状況によっては別の行動をとったほうがよい場合もあるでしょう。相手との関係性や案件の緊急度などによって、仕事の正解は変わります。これはあくまでも1つの回答例として考えてください。
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<回答例>
①⇒A チーム全員の前でプロジェクトの目的などを説明する
②⇒B 相手先に行くときもあるが、こちらに来てもらうときもある
③⇒B 早く決めたいから、関係者全員のチャットグループをつくる
④⇒B 簡単な内容はチャットで報告させて、報告のスピードを上げる
⑤⇒B 若い頃は課題が多いもの。まずはチャレンジした点を褒める
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回答の意図を簡単に説明します。
①は、効率を重視するならばB「中心メンバーに概要を伝える」でもよいのですが、チーム全員にプロジェクトへの参画意識を持ってもらうためには、A「全員の前で説明する」ほうが効果的です。一人ひとりへの信頼を伝えやすくなり、チームの結束力を高められる可能性があります。この例は次回以降の記事でくわしく説明します。
②のミーティングの実施場所については、発注側のオフィスに受注側が訪問するパターンが多いのではないかと思います。特に発注側が都市部の会社の場合、そうなりがちです。それでもよいのですが、私は実施場所を固定せず、柔軟に考えたほうが、相手との間によりよい関係を築けると考えています。
③④は、どちらもチャットツールの活用をおすすめします。会議の参加者も、チームのメンバーも、ほかにいろいろな仕事がある中で会議に出席したり、報告を上げたりしています。A・Bどちらのやり方にも理がありますが、関係者に必要以上の負担をかけずに、かつスピーディーに話を進めるためには、チャットのようにオープンなコミュニケーションを活用したほうが効果的です。使い方のポイントは次回以降の記事でくわしく説明します。
⑤の若手への助言も、A・Bどちらにもメリットがあると思います。相手の成長段階によって正解は異なるかもしれません。ただ、さまざまな会社の話を聞いていると、課題の指摘はよくおこなわれる一方で、チャレンジを評価する動きは少ないように見えます。そこで私はBを選択しました。
沢渡 あまね
作家/ワークスタイル&組織開発専門家、『組織変革Lab』主宰
400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。著書『新時代を生き抜く越境思考』『うちの職場がムリすぎる。』『職場の問題地図』ほか。#ダム際ワーキング推進者。
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