(※写真はイメージです/PIXTA)

元受刑囚や生活保護受給者、元ヤクザや自己破産者、DV避難者など「ワケあり」な人たちに部屋を貸す大家のことを、ライター兼フリージャーナリストの春川賢太郎氏は「エクストリーム大家」と呼んでいます。本稿では春川氏の著書『エクストリーム大家』から一部を抜粋し、「無風」の入居者と過ごした日々は「実につまらなかった」と回顧する著者が、刺激的で「キャラの濃い」入居者と出会うための方法を解説します。

自称・元ヤクザが「大家」に会いたがったワケ

「ワシ、水商売の女に昔、手出してな。その女がここを縄張りとしとる○×組の親分のコレや。それでワシ、組からトコロ払いされてやな。せやけど女のほうから、また会いたいゆうから戻ってきて、今、身を隠しとるんや」

 

こうした話を、トコロ払い(そのエリアに居住することを許さない制裁)されているという地域のメインストリートのど真ん中にあるマクドナルドでしている。こちらの身の危険はないのか心配になる。

 

「こう見えてもワシ、女がほっとかんさかいの。博多も行ったし、岡山も行ったで」

 

この手の人たちが言う“女”とは、水商売か風俗のプロの人たちであり、彼女たちからすれば単なる客に過ぎないことがほとんどだ。恐らく水商売の女性に一方的な恋心を抱き、通い詰め、ツケを溜めすぎたのだろう。そして借金が膨れ上がり、その土地にいづらくなってここに来た――というのが真相と筆者は見た。

 

ちなみに風俗だと、いわゆるツケが利くところなどほとんどないので、この手の人たちが風俗嬢に入れあげたとしてもカネの面でトラブルになることは今の時代、まずない。

 

だから、この手の人が小指を立てて「ワシ、女のトラブルで……」と言うケースの真相は十中八九、地元のスナックや小料理屋あたりの女性に入れ込んで、そこのツケが払えなかったというパターンが多い。

 

この自称・元ヤクザに筆者は単刀直入に聞いてみた。

 

筆者「ほんまに、ここ神戸に住むつもりあるの?」

 

引き受けるとなると、まず住民票をきちんとしてあげなければならない。それから生活保護受給の申請を行政にお願いすることになる。それ以前にも、今日の食事や風呂、替えの下着や布団の用意など細々とやることがある。

 

「あるで。せやけど今日は飲みに行くんじゃ。入居祝いや!」

 

噛み合わない会話を遮り、そのまま物件を見せるために車に乗るよう促す。すると、「うーっ」と叫びながら全速力で走り去っていく。筆者は呆然としながら、その後ろ姿を追うことだけしかできなかった。

 

後日、この話を懇意のNPO職員にした。すると、こう返ってきた。

 

「それはね、ただ、大家を呼び出してお茶かあわよくばお酒、お食事でもたかろうという彼らの常套手段ですね」

 

この一件で、筆者は町内の掲示板を用いた客付けはやらないと決めた。なお、掲示板の利用には費用はかからない。やはり、タダほど怖いものはないのだ。

 

春川 賢太郎

ライター・フリージャーナリスト

 

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エクストリーム大家

エクストリーム大家

春川 賢太郎

ライチブックス

【エクストリーム大家】とは元受刑囚や生活保護受給者、元ヤクザや自己破産者、DV避難者などワケありな人たちに部屋を貸す大家のこと。 本業フリーライターの著者が亡き母から受け継いだのは築古の昭和団地&ボロ戸建てと、…

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