エクストリーム大家が客付けする「3つの方法」とは
たとえばある夜、寝ているときに警察から電話がかかってきて、「お宅の入居者が酒場で喧嘩しているから」「お宅の入居者が路上で酔っ払って寝ているから」と言われ、身柄を引き取りに、慌てて車やタクシーを飛ばす。またあるときは地域の自治会から、「お宅の入居者が近隣の住民から気持ち悪がられている」と連絡が来て、様子を見に行く――。
正直、心地よいものではない。でも、しばらくすると、そうしたことがとても楽しく思えてくるのだ。どこかピリピリした空気感のなかにも間が抜けた感覚、これは味わった者でしかわからない面白さだろう。
一般的な大家であれば、とてもそんな日常を味わうことはできない。
そうした個性豊かな入居者たちと出会うには、やはり、普通の不動産会社にお願いするのはそもそも間違いなのだろう。
かつて筆者が子どもの頃、母は大阪・西成にある、今はなき「あいりんセンター」付近や三角公園、神戸・湊川や福原周辺の路上で「人生やり直さへん?」と声掛けし、軽トラックに乗せて走り回り、入居者を確保していた。
もちろん、今はそんな真似はできない。では、どうやって客付けするのか。
エクストリーム大家の客付けは次の3つに尽きる。
行政やNPOから紹介してもらう(NPO系)
SNSや個人間マッチングサイトで募集する(ネット)
もっともこれら3つのスタンダードコースも、入居者のカラーがだいぶん変わってくる。
有り体に言えば、入居者のキャラ、そのディープ度の濃さは掲示板→NPO系→ネットの順である。
ともすれば世間では、いまだネットで恋人と出会った、モノを買ったといえばどこか怪しいと見る向きも少なくない。賃貸における客付けも同様だ。いわゆる町の不動産屋さんを介して物件を探し、入居したとなれば、入居者(借り手)と大家(貸し手)の双方は安心できるという前提がある。
もっとも令和の世の今、ネットといっても『SUUMO』や『ホームズ』『アットホーム』といった“賃貸サイト御三家”であれば、安心できるだろう。しかし、筆者が客付けに使うネットというのは、SNSのツイッターと個人間取引に特化した交流サイト『ジモティー』を指す。
筆者の持っている物件の入居者数のうち、行政やNPOからの紹介とネットは現在、ほぼ同数となっている。今では町内の掲示板経由での入居はほとんどないが、かつては少数ながらいたこともある。
亡き母がエクストリーム大家業を営んでいた当時、といってもネットが普及する以前の時代は、町内の掲示板での入居者も数多かったものだ。
しかし今では携帯電話、そしてスマホの普及でめっきり減ってしまった。