(※写真はイメージです/PIXTA)

元受刑囚や生活保護受給者、元ヤクザや自己破産者、DV避難者など「ワケあり」な人たちに部屋を貸す大家のことを、ライター兼フリージャーナリストの春川賢太郎氏は「エクストリーム大家」と呼んでいます。本稿では春川氏の著書『エクストリーム大家』から一部を抜粋し、「無風」の入居者と過ごした日々は「実につまらなかった」と回顧する著者が、刺激的で「キャラの濃い」入居者と出会うための方法を解説します。

エクストリーム大家が客付けする「3つの方法」とは

たとえばある夜、寝ているときに警察から電話がかかってきて、「お宅の入居者が酒場で喧嘩しているから」「お宅の入居者が路上で酔っ払って寝ているから」と言われ、身柄を引き取りに、慌てて車やタクシーを飛ばす。またあるときは地域の自治会から、「お宅の入居者が近隣の住民から気持ち悪がられている」と連絡が来て、様子を見に行く――。

 

正直、心地よいものではない。でも、しばらくすると、そうしたことがとても楽しく思えてくるのだ。どこかピリピリした空気感のなかにも間が抜けた感覚、これは味わった者でしかわからない面白さだろう。

 

一般的な大家であれば、とてもそんな日常を味わうことはできない。

 

そうした個性豊かな入居者たちと出会うには、やはり、普通の不動産会社にお願いするのはそもそも間違いなのだろう。

 

かつて筆者が子どもの頃、母は大阪・西成にある、今はなき「あいりんセンター」付近や三角公園、神戸・湊川や福原周辺の路上で「人生やり直さへん?」と声掛けし、軽トラックに乗せて走り回り、入居者を確保していた。

 

もちろん、今はそんな真似はできない。では、どうやって客付けするのか。

 

エクストリーム大家の客付けは次の3つに尽きる。

 

町内の掲示板にチラシを掲示する(掲示板)

行政やNPOから紹介してもらう(NPO系)

SNSや個人間マッチングサイトで募集する(ネット)

 

もっともこれら3つのスタンダードコースも、入居者のカラーがだいぶん変わってくる。

 

有り体に言えば、入居者のキャラ、そのディープ度の濃さは掲示板→NPO系→ネットの順である。

 

ともすれば世間では、いまだネットで恋人と出会った、モノを買ったといえばどこか怪しいと見る向きも少なくない。賃貸における客付けも同様だ。いわゆる町の不動産屋さんを介して物件を探し、入居したとなれば、入居者(借り手)と大家(貸し手)の双方は安心できるという前提がある。

 

もっとも令和の世の今、ネットといっても『SUUMO』や『ホームズ』『アットホーム』といった“賃貸サイト御三家”であれば、安心できるだろう。しかし、筆者が客付けに使うネットというのは、SNSのツイッターと個人間取引に特化した交流サイト『ジモティー』を指す。

 

筆者の持っている物件の入居者数のうち、行政やNPOからの紹介とネットは現在、ほぼ同数となっている。今では町内の掲示板経由での入居はほとんどないが、かつては少数ながらいたこともある。

 

亡き母がエクストリーム大家業を営んでいた当時、といってもネットが普及する以前の時代は、町内の掲示板での入居者も数多かったものだ。

 

しかし今では携帯電話、そしてスマホの普及でめっきり減ってしまった。

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エクストリーム大家

エクストリーム大家

春川 賢太郎

ライチブックス

【エクストリーム大家】とは元受刑囚や生活保護受給者、元ヤクザや自己破産者、DV避難者などワケありな人たちに部屋を貸す大家のこと。 本業フリーライターの著者が亡き母から受け継いだのは築古の昭和団地&ボロ戸建てと、…

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