(※写真はイメージです/PIXTA)

加速度的に人口が減少している先進国では、年金制度が大破綻する将来がより確かなものへとなってきている。そこで今回は、長期投資家の渡部 清二、澤上 篤人の二人が、その年金制度の破綻による経済危機をいかに乗り越えるべきなのか、「個人の姿勢」に着眼して、解説します。

将来の年金のかたちは「個人が考えて個人で投資する」

 

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澤上 逆に言うと、現在の年金制度で苦しんでいる先進国は、金融緩和バブルの崩壊で、その年金システムごとドーンと破綻が来るわけ。かなり大変なことが起こるよ。

 

渡部 確かに、そうです。年金は、これからどうなるんですかね? もしかしたら、ある段階で、「もう全部いったん、それぞれの割合で国民に返します、これからは自分でやってください」みたいなことも起きかねないですよね?

 

澤上 でも、そうなると、暴動が起こるよね。

 

渡部 暴動が起きますよね。しかしながら、現実問題として、もうそれぐらいしかやりようがないんじゃないですか?

 

澤上 そもそも、日本の国がやっていることは、何一つ、俺は評価していない。唯一、iDeCoやDC(確定拠出年金)の制度は素晴らしいスピードで充実させてくれている。あれは、国は年金が100年安心と言いながら、駄目になるのを知っているから、できれば静かに、iDeCoやDCに移って来てくださいという考えでやっていると思うよ。

 

国の年金制度もそうだが、年金の運用もひどい状態になっているのも問題だよ。たとえばバブル高している株価をやたら追いかけているのだから、もう運用じゃないわけよ。

 

この章の最初に話したけれども、40年に一回の大暴落が来て、GPIFが200兆円、共済を入れれば270兆円ぐらいかな、それが大きく沈んだりしたら大変な事態になる。大きくヘコんだら、もう悲惨。彼らの運用している金融緩和バブルにどっぷり()かったポートフォリオなど、見たくもないよ。

 

渡部 そうすると、流れ的には間違いなく、年金は個人が考えて個人で投資するという決断をせざるを得ないところまで来ていると。

 

澤上 やる人はね。そこで、やっかいなことになりそうなのが、国や金融庁が進めている「貯蓄から投資へ」の大キャンペーンだ。タイミングが悪すぎる。もう、いつ弾けてもおかしくない金融緩和バブルの最終局面で、投資の世界に多くの個人を誘おうとしているわけよ。

 

どこかで、大きな痛手を(こうむ)ることを、俺は危惧している。下手したら、はじめて投資に踏み切った人たちは、もう投資はこりごりになるかもしれんし。こんな金融緩和バブルが弾けそうな時に、NISAでインデックスを買えと言うんだから。悪すぎる、タイミングが。金融庁のお役人は、投資運用を何も理解していないからね。

 

そうは言うものの、「貯蓄から投資へ」は国を挙げて絶対に進めたいテーマ。ただ、やってもらいたいのは本物の長期投資による資産形成のはず。

 

 

澤上 篤人

公益財団法人 お金をまわそう基金

代表理事

 

渡部 清二

複眼経済塾

代表取締役塾長

 

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※本記事は、澤上篤人氏・渡部清二氏の著書『本物の長期投資でいこう! 40年に一度の大チャンスがやってくる』(かや書房)より一部抜粋してお届けしています。

本物の長期投資でいこう! 40年に一度の大チャンスがやってくる

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「方法論よりも理念を語りたい。自分の好きな個別株に命をかけろと話したい」(序章より) 40年にわたる金融政策の末、ついにやって来るインフレと大暴落。そんな世界的な危機に対して、「さわかみ投信」創業者 澤上篤人と…

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