3.ガソリン、灯油価格は大幅上昇へ
7月のコアCPIは前年比3.1%となり、電気代、ガス代の下落幅拡大を主因として、上昇率が前月から0.2ポイント縮小した。しかし、コアコアCPIは前年比4.3%と前月から伸びを高めており、基調的な物価上昇圧力は高まっている。
ガソリン、灯油等に対する燃料油価格激変緩和措置の補助率は6月以降、段階的に引き下げられており、9月末には同措置が終了する予定となっている。
補助率の縮小に円安、原油高が重なったことで、ガソリンの店頭価格は13週連続で上昇している。8/14時点のガソリン店頭価格は、1リットル当たり181.9円(全国平均、レギュラー)まで上昇し、過去最高値(08年8月の185.1円)に近づいている。激変緩和措置が予定通り終了した場合、ガソリン、灯油は前年比で二桁の高い伸びとなる公算が大きい。
また、23年2月から実施されている電気・都市ガス代の激変緩和措置は、10月には値引き額が半減される予定となっている。ガソリン・灯油、電気・都市ガス代を合わせた激変緩和措置によって、コアCPI上昇率は22年1月以降、押し下げられてきたが、23年10月には逆に押し上げ要因となることが見込まれる。
4.コアCPIは23年度末まで2%の物価目標を上回る伸びが続く見込み
足もとで再び円安が進んでいることには留意が必要だが、物価高の主因となっていた輸入物価の上昇には歯止めがかかっており、23年7月の輸入物価は前年比▲14.1%の大幅マイナスとなった。
このため、今後は原材料コストを価格転嫁する動きが徐々に弱まり、財価格の上昇率は鈍化することが見込まれる。
一方、サービス価格は2%まで伸びを高めたが、サービス価格との連動性が高いベースアップが23年に2%程度となる中で、長期にわたり値上げが行われなかった分、値上げ幅が大きくなる可能性が高いことを考慮すれば、上昇ペースはさらに加速する可能性が高い。物価上昇の中心は、これまでの財からサービスへ徐々にシフトしていくだろう。
現時点では、コアCPIは前年の高い伸びの裏が出ることもあり、23年9月に2%台後半に伸びが鈍化した後、電気・都市ガス料金の補助金が10月に半減された上で継続することを前提として、23年度末まで2%台の伸びが続くと予想している。
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