(※写真はイメージです/PIXTA)

共働きではない夫婦にとって、老後の収入は多くの場合「働き手である配偶者の年金」に依存することになるでしょう。そのようななか、頼みの綱である働き手の配偶者を失った場合、遺されたほうはどのように生きていけばいいのでしょうか。牧野FP事務所の牧野寿和CFPが、事例を交えて解説します。

貯蓄する習慣のなかったA家…生活費は足りる?

上場企業に勤めていたBさんは高収入でしたが、貯蓄をする習慣はありませんでした。住宅購入の頭金や子どもの教育費、旅行費用などまとまった支出は給与とボーナスでまかない、住宅ローンは退職金で完済するなど、入ってきたお金は右から左に出ていく状況だったそうです。

 

そのためか生活費には余裕はなく、毎月28万円前後で推移していました。ただし、Aさんは夫に内緒でへそくりをしており、お金が足りない時にはそこから補填していたようです。

 

またAさんは、「1人で生活するなら、毎月14万円もあれば十分だ」と言います。

※ 参考までに、総務省統計局の「家計調査年報」(2022年)によると、勤労者世帯全体の生活費は約32.1万円、50歳代では約36.3万円、60歳以上29.9万円。60歳以上の単身女性世帯は15.5万円となっている。

 

Aさんから話を聞き、ひととおり試算を終えた筆者は、「試算した限り、提示された3つのプランとも家計収支の面では実現可能です」と話しました。

 

ただし、住み替えか長女一家との同居を選んだ場合、長男が帰国したときに落ち着くところがなくなる可能性はあります。また、自宅の売却や新しい家を探すには、相当の時間がかかることは考慮に入れる必要がありそうです。

 

Aさんは、「一時はどうなることかと心配でなりませんでしたが、筆者と話しているうちにひとまず落ち着けました」と話してくださいました。そして、焦らず子どもたちの意見も聞きながら、3つのプランのうちどれを選ぶか検討することにしました。

 

まとめ

それから数ヵ月後、Aさんは再び筆者のところを訪れました。どうやら、長女一家と一緒に住むことを選んだ様子。

 

「長女が2人目を里帰り出産することになり、すでに長女夫婦や孫とにぎやかに過ごしているんです。長男も、“母さんが姉さん家族と一緒に住んでくれれば安心だ”と言ってくれていて……」

 

そうにこやかに話してくださいました。

 

 

牧野 寿和

牧野FP事務所合同会社

代表社員

 

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※プライバシー保護の観点から、登場人物の情報を一部変更しています。

〈参照〉
・日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/izokunenkin/jukyu-yoken/20150424.html

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